【文学・音楽】時代や国を超え共鳴、中島敦の代表作「李陵」がクラシック曲に…東京芸大の院生が制作、「生きる葛藤、今の時代と同じ」

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1生徒もろきみ!φ ★
 中国の古典を題材に優れた作品を残し、今年で没後70年を迎える作家・中島敦の代表作が、20代の若手音楽家たちの手で
クラシック音楽に生まれ変わる。紀元前百年頃の中国・漢の史実を基にした中編小説「李陵(りりょう)」をもとに、東京芸術大
(東京都台東区)大学院2年で作曲専攻の山下祐加さん(25)=茨城県取手市=が声楽曲を制作。「今の時代にこそ響く物語」
と、出演者らは21日の一般公開に向けてけいこを重ねている。

 「このせりふ、どういう思いなのかな」

 「もっと積極的な方がいい?」

 ビリビリと練習室の空気を震わせていたテノールが途切れ、ソリスト(独唱者)と指揮者の議論が始まる。ピアノ伴奏の山下さんが
登場人物の心情を伝えると、2人は納得してうなずく。やりとりが繰り返され、けいこは熱を帯びる。

 戦に敗れ、捕虜となった将軍・李陵は、皇帝に家族を殺されたことを知らされ、敵国の匈奴(きょうど)に仕える。だが、同じ境遇下
でも祖国への忠誠を守り、ついには帰国を果たした友人と自らの生き方を比較し、思い悩む――。

 こうした物語の「李陵」に山下さんが出合ったのは、大学生だった3年半前。時代も国も違うが、葛藤を抱えながら生きる李陵の姿
に共感した。「就職難や子育て、年金にエネルギー問題。先が見えない現代、壁にぶつかって悩む私たちと重なり、読むたびに新しい
発見と感動があった」。探していた卒業作品の題材に即決した。

 制作には、日本語の先例が少ないオラトリオの形式を選んだ。重厚なテーマと美しい漢文調の文体には、オペラの華やかな掛け合い
より、壮大で叙事的な雰囲気が似合うと感じたからだ。

 そこからは試行錯誤の日々。他のオラトリオ作品を読み込み、中国史の資料もあさった。李陵と同じ空気を感じようと、漢の時代に
匈奴の侵攻を防ぐために築かれた万里の長城にも登った。「長い原作を約80分の楽曲に収めるため、テーマが損なわれないよう
苦労した」。台本の完成に1年、歌と管弦楽の作曲にはさらに1年かかった。

 指揮や独唱はプロとして活躍する芸大の先輩らが、フルートやバイオリンなど室内楽の演奏を後輩が担当。昨年の全日本合唱
コンクールで金賞を受賞した合唱団も参加し、計32人の若い才能が集まった。

 没後70周年公演が実現したのは、中島敦の次男、格(のぼる)さん(72)=さいたま市=との出会いがきっかけ。知人の誘いで
昨年6月、東京芸大を訪れ、学内での公演を鑑賞した。

 格さんは「これから何をなそうかと悩む今の若者が父の作品から何かを感じ取り、新しい風を吹き込んでくれるということがうれしい」と
期待を寄せている。

 公演は横浜市西区の横浜みなとみらいホールで、午後7時開演。入場料5千円。問い合わせは主催の「中島敦の会」へ。

(※問い合わせ先省略。新聞紙面でご確認下さい)

ソース(東京新聞 9/14夕刊 9面)

「李陵」 中島敦
http://www.aozora.gr.jp/cards/000119/files/1737_14534.html
2やまとななしこ:2012/09/21(金) 22:42:55.64 ID:qOANT8lZ
李陵をかばったために宮刑になった
司馬遷が薄暗い蚕室で落ち込んだシーンも
表現されているのかなあ?
3やまとななしこ:2012/09/21(金) 22:46:29.90 ID:Evvm7V28
文字禍でも
4生徒もろきみ!φ ★:2012/09/21(金) 22:46:30.28 ID:???
あぁ、中島敦の文章って、本当にこれは漢文の素養があってそれをフルに生かして書いてるからなのだろうけれども、
「1つの音楽」であるかのように、旋律があるよね。

「山月記」もそうだし、「弟子」もそう。

中島敦の音楽化か。どんな風になるのだろう。興味津々だ。是非聞いてみたい。
5やまとななしこ:2012/09/21(金) 22:56:53.11 ID:i2oYyKt2
中島敦は良いよなぁ。
…俺はこの言葉が深く心に刻まれているよ

「虎だ!虎だ!お前は虎になるのだ!」
6やまとななしこ:2012/09/21(金) 23:04:06.59 ID:dcIU4CjS
虎よ! 虎よ! あかあかと燃えるってやつか
7やまとななしこ:2012/09/21(金) 23:06:49.56 ID:LKemTpUG
高校の国語で「山月記」やったなあ。
尊大な自尊心が身を滅ぼすんだぞ!思い当たる奴多いだろ!
8やまとななしこ:2012/09/21(金) 23:17:14.10 ID:i2oYyKt2
>>7
強ければそれでいいんだ
9生徒もろきみ!φ ★:2012/09/21(金) 23:58:01.86 ID:???
「山月記」で言うなら、

 隴西の李徴は博学才穎、
天宝の末年、若くして名を虎榜に連ね、
ついで江南尉に補せられたが、
性、狷介、自ら恃むところ頗る厚く、
賤吏に甘んずるを潔しとしなかった。


…という、もうこの文章の出だしが1つの「音楽」だと思うのですよ。漢文の詩歌の影響なのだろうけれども。
10ふまさ:2012/09/22(土) 00:06:25.79 ID:afQQTUHZ
コンサート行きました。
ハルモニア、
中島敦ということで期待していったのですが、
がっかりでした。
クラシックの作品としては素晴らしいのでしょうね。
でも、中島敦作品の流れる漢文読み下しのリズムが
歌にいかされなく、まっ、そんなもんかという
素人には全く感動のない作品でした。
11やまとななしこ:2012/09/22(土) 00:24:12.41 ID:HX2+bT8A

教科書で「山月記」を読んで、当時高校生の私は ズドン!と心を
射抜かれて、大学への進路希望を「法・経」学部系から、文学部の
東洋哲学系に変更した。

当時、男子で文学部希望者は変人扱いされた時代だったので、
親や兄姉から「将来何の役に立つんだ・道楽は年寄りに
なってからでいい」と反対されたが、漢文を返り点なしで
読める力量は、何かと役にたっている。
12やまとななしこ:2012/09/22(土) 00:27:06.73 ID:Q4IMOm99
しかし中島のベースはまさに西洋近代の自我だよな。
13やまとななしこ:2012/09/22(土) 08:51:27.73 ID:cohWCU5D
うしとら?
14やまとななしこ
やっぱ神の領域に達する名人伝がおもしろいわ