マサバもいいけど、ゴマサバもイケます―。八戸市内の料理店や水産加工業者の一部で、マサバの代わりにゴマサバを使い、締めさばや
棒すしなどに加工する動きが広がっている。昨年、八戸港に水揚げされたサバがゴマサバ主体で、締めさばに適したマサバが少なかったため。
ゴマサバは身が軟らかく扱いが難しいが、手作業で慎重に加工したり、食感を硬めに変える工夫をしたりと試行錯誤を重ねながら、商品
価値の向上に取り組んでいる。
昨年、大中型巻き網船が同港に水揚げしたサバは約4万6千トンで、前年を約3割上回った。ただ、例年はマサバが主体だが、昨年は
ゴマサバが全体の8割前後を占め、比率が逆転。一般にマサバより商品価値が低いとされるゴマサバの有効活用が課題となっている。
こうした中、同市売市2丁目の八戸ニューシティホテルの谷口圭介板長は、全国各地の物産展で販売している「虎鯖棒すし」で、
ゴマサバを使った新商品を開発。3月から販売を始めた。
マサバは三枚におろして干した後、酢に漬けるが、ゴマサバはその前に塩水に丸1日漬け、血抜きをすることで身を引き締めた。味を深く
するため、さば節を漬け込んだしょうゆも添えた。
商工関係者の試食では「マサバに近い食感で、うま味も十分」と好評で、9月から市内の小売店でも販売する予定だ。
六日町のサバ料理専門店「サバの駅」では、酢やみそで締める場合はマサバ、火を通す料理はゴマサバと、以前から調理によって
使い分けてきた。
ただ、「今後もゴマサバの水揚げの割合が高くなるかもしれない。マサバの代わりに使う方法を見つけなければ」(島脇和則店長)と、
ゴマサバで締めさばやみそ締めを試作中だ。
正式なメニューはまだないが、島脇店長は「ゴマサバもうま味を引き出せば、マサバに劣らないはず。さらに良い調理法がないか模索
したい」と話す。
水産加工業者もゴマサバの加工を工夫している。江陽4丁目のヤマヨは、主力の締めさばの一部サイズで、原料にマサバとゴマサバの
両方を使用。ゴマサバの商品は価格を安く設定した。
加工段階の基本的な製法は変わらないが、皮を剥ぐと、ゴマサバは身まで一緒に剥がれやすいため、手作業で行っており、その分
手間がかかるという。
田面木努サバ製品ユニット長は「味に大きな違いはない。軟らかい食感をゴマサバの長所として捉え、食べやすさをアピールしたい」
と話し、締めさば以外の加工品や付加価値の高い商品開発にも意欲を見せる。
鮫町のヤイチも昨年の仕入れ分から、ゴマサバを締めさばに使い始めた。また、煮物のレトルト食品に加工する際は身崩れしないよう
乾燥時間を長めに設定。
三浦泰子代表は「ゴマサバも脂が乗っていておいしいですよ」とPRする。
ソース(デーリー東北)
http://cgi.daily-tohoku.co.jp/cgi-bin/news/2012/06/28/new1206281601.htm 写真=ゴマサバを使い「虎鯖棒すし」を作る谷口圭介板長
http://cgi.daily-tohoku.co.jp/cgi-bin/news/2012/06/28/img1206281601.jpg