亘理町荒浜地区で水産加工会社を経営する菊地秀喜さん(49)が飼育するタツノオトシゴに、約30匹の稚魚が生まれた。工場が
被災した菊地さんは、縁起のいいとされる魚の慶事に「復興に向かって何かいいことがあってほしい」と喜んでいる。
菊地さんは、知人が今月上旬に荒浜の鳥の海で捕獲したタツノオトシゴを譲り受け、「鳥の海ふれあい市場」の仮設店舗に入居する
工場で、水槽に入れて飼育していた。16日朝に様子を見たところ、稚魚が元気に泳いでいたという。
「まさか水槽の中で生むとは思わなかった」と菊地さんはびっくり。荒浜出身の友人、建築業橋本達也さん(48)も「子どものころは
浅瀬にいっぱいタツノオトシゴがいたけど、最近はめっきり減った。こんなに多くの稚魚も見るのは初めて」と驚く。
創業約50年の菊地さんの工場は津波で全壊。昨年12月から仮設店舗で業務を再開したが、福島第1原発事故の風評被害で
売り上げはピーク時の1割程度と苦境が続く。
工場の現地再建を目指す菊地さんは「タツノオトシゴは『幸運を呼ぶ』というので、何かいいことがあるかも。まずは多くのお客さんに
稚魚を見に来てほしい」と復興の呼び水となることを願う。
マリンピア松島水族館(松島町)によると、県内沿岸のタツノオトシゴは、津波ですみかとなるアマモなどの海草が流されて生息数が
減っているという。
ソース(河北新報)
http://www.kahoku.co.jp/news/2012/06/20120620t15002.htm 写真=水槽で飼育しているタツノオトシゴ(下)から生まれた稚魚たち(上)
http://www.kahoku.co.jp/img/news/2012/20120619015jd.jpg