■市の天然記念物申請へ
さくら市内の用水路で県固有の希少水生植物「シモツケコウホネ」が確認された。
県内では日光市、那須烏山市、真岡市に次いで4カ所目。地元の自然愛好家グループが
葉や根茎をシモツケコウホネの命名者である大阪市自然史博物館の志賀隆学芸員に届け
確認した。グループは保全活動を進める一方、市の天然記念物の申請に向けて調整を急ぐ。
(伊沢利幸)
シモツケコウホネは平成18年に志賀学芸員が日光市小代の水路で発見した。水生植物の
群落がスイレン科の仲間でコウホネ属の新種と分かり、日本植物分類学会の英文誌に発表
するとともに新種登録を申請した。
コウホネに似ているが浮葉を出さず、葉は水中にあり、沈水状態でのみ生育するという。
コウホネ属としては極めて特異な生態をもつ。葉は小さめで、雌しべの先端や果実が赤いこと
などが特徴。コウホネ属の進化を考える上で極めて貴重とされるほか、環境省や県のレッドリスト
で絶滅危惧種に指定されている。
さくら市では9月に市内の農業の男性(68)が「シモツケコウホネのような水生植物が近くの
用水路にある」と地元の自然愛好家らでつくる「うじいえ自然に親しむ会」(加藤啓三会長)に連絡。
加藤会長とともに、同会顧問で県シダ会会長や県絶滅危惧植物調査員などを務める田代俊夫さん
らが調査し、葉や根茎を志賀学芸員に送り確認してもらったところ、シモツケコウホネと判明した。
志賀学芸員によると、「遺伝子的特徴がシモツケコウホネと判断できる特徴をもっていた」という。
その上で「確認されている地域のシモツケコウホネの遺伝子型とは異なることから自生していたもの
と思われ、非常に重要な個体」と分析している。
発見した男性は「シモツケコウホネの記事をみて近くで見たことがあると思って周辺を探していただけに
確認できてよかった。絶滅が危惧される植物なので地域で大切にしていきたい」と話す。
また、加藤会長は「さくら市周辺でもシモツケコウホネが自生していたことが証明された。貴重な植物
なので会としても今後、保全対策を協議し、市の天然記念物指定に向けて手続きを進めたい」と語った。
同会は月内にも役員会で市天然記念物指定に向けて申請を行う方針を決め、来年早々にも申請手続きに入る予定だ。
http://sankei.jp.msn.com/region/news/111115/tcg11111501260000-n1.htm ◆画像/
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