◇古民家を生かせ 鑑定士ら『再生協会』発足
古き良き日本のたたずまいを残す古民家を保存、再利用しようという
動きが盛んだ。県内では先月、梁(はり)や柱など良質な古材に
市場価値を付けて再利用を促す「県古民家再生協会」が発足した。
関係者は「伝統的な古民家の良さを次世代に残したい」と意気込んでいる。
「梁に使われているのはマツやクリ。いろりの煙でいぶされ独特の
風合いがあるし、こんな太い木は今は手に入らない。ほれぼれしますね」。
那珂川町にある築三百年の木造住宅。歴史を感じさせるかやぶき屋根や
黒光りする柱を丹念に調べながら、古民家鑑定士の薄井さんがつぶやいた。
古民家は伝統的な建築方法で建てられ、現在は伐採できない貴重な
材木が使われている場合もある。「長い歳月をかけて自然乾燥しているので
強度が強い」(薄井さん)ため再利用でき、資源の保護にもつながる。
古民家鑑定士は財団法人「職業技能振興会」が昨年春に設けた認定制度で、
古民家の価値を金額で示し、再利用できる場合は売買や部材の使用方法について
アドバイスする。全国で建築士や大工、古民家愛好家ら約八百人、県内では
十一人が資格を持つ。
県古民家再生協会は薄井さんと鈴木健規理事長らが「古くなったから
壊すのではなく、家や材木を有効に生かす取り組みを県内に広めたい」として
設立した。現在、県内にある古民家は約一万五千軒。希望者宅に鑑定士を
派遣したり、古民家や古材を再利用した店舗の企画などを担っている。
薄井さんは「捨てずに再利用すれば廃材が減り、地球環境にも配慮できる。
利点が多い古民家の再活用法をどんどん提案していきたい」と力を込めた。
(一部省略)
ソース(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20100709/CK2010070902000103.html ▽築300年の古民家の前で「古民家や古材には後世に残すべき特別な価値がある」と話す薄井さん
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20100709/images/PK2010070902100026_size0.jpg