◇淀川のイタセンパラ 5年ぶり生息確認
国土交通省淀川河川事務所は6日、国の天然記念物で
レッドリスト(絶滅危惧(きぐ)種)に指定されている淡水魚
「イタセンパラ」が淀川で生息しているのを確認したと発表した。
淀川では2005年を最後に確認できない状況が続いていたため、
同事務所は昨年秋に成魚500匹を淀川本流へ放流。その結果、
133匹の稚魚を確認し、繁殖していることが分かった。
かつて淀川ワンドはイタセンパラの一大繁殖地として知られていたが、
河川工事や外来魚の増加、密漁などの影響で激減。同事務所の
調査で確認数は 06年から4年連続で“ゼロ”。秋に産卵すると
冬を越せない特徴から、野生で生息している可能性は
極めて少ないとみられていた。
同事務所は昨年秋、淀川本流にイタセンパラが生息しやすい
環境を整備した上で雌雄各250匹を放流。密漁防止のため
放流場所などの情報を非公開にし、今年4〜6月に稚魚の
出現状況を調べた。
イタセンパラの稚魚を確認したことで生息に適した環境を一部再生できた
状況になったといえるが、同事務所は「放流した数に比べ確認できた
稚魚の数が少なく、野性に定着するには不十分」と分析。今後は
ふ化したイタセンパラが今秋に産卵するかが大きなポイントになるため、
本年度は放流せずに水質や環境の改善に努めるという。
研究者や行政関係者で組織する「淀川水系イタセンパラ研究会」の
小川力也会長は「稚魚の数は少ないが確認できたことに手応えを感じる。
後はその数をどう増やすか。今回の結果を慎重に調べたい」と話している。
ソース(大阪日日新聞)
http://www.nnn.co.jp/dainichi/news/100707/20100707033.html ▽確認されたイタセンパラの稚魚
http://www.nnn.co.jp/dainichi/news/100707/images/IP100706TAN000142000.jpg