豊川市の名物「いなり寿司(ずし)」で地域の活性化に取り組んでいる
「いなり寿司で豊川市をもりあげ隊」が設立されて1年になる。
この間、さまざまなイベントやアイデアで、地域を盛り上げてきた。
経済効果が見込めるB級グルメの祭典「B−1グランプリ」への出場権も獲得し、
9月の大会に向け、張り切っている。
もりあげ隊の設立は、07年に就任した山脇実市長が、いなり寿司のブランド化を
マニフェストに掲げたのがきっかけとなった。市の若手職員らで地域ブランド化
推進委員会を発足し、いなり寿司を全国にアピールしていこうと決めた。
「食でまちおこしをするには、市全体での取り組みが大切」と、市や観光協会、
商工会議所、農協、企業、市内のいなり寿司店が一体となり、もりあげ隊を昨年
7月1日に設立した。もりあげ隊副隊長で市観光協会事務局長の平賀さん(41)
は「おいしくて楽しいいなり寿司で、住んでる人も訪れる人も楽しめるまちにしたい」
と話す。
毎月17日を「いいな、いなり寿司の日」と定め、市役所ロビーでいなり寿司を
販売してきた。小学校の運動会や祭り、イベントなどにも出張販売。親子でいなり
寿司を作る教室や、小中学生を対象にした「地産地消創作いなり寿司コンテスト」を
開催するなど、さまざまな形でPRしている。
保健所講習会を開き、安全・安心な寿司作りを目指した。また、店の自覚を高め
ようと「豊川いなり寿司マイスター認定講習会」を開いた。昨年は受講した22店舗
25人が認定され、マイスターの作ったものを「豊川いなり寿司」と認定、PRしている。
ほかにも、穂の国青年会議所がイメージキャラクターの着ぐるみ「いなりん」を作り、
活躍している。
成果は出てきた。市営豊川駅東駐車場の団体バス駐車料無料化に合わせ、豊川稲荷の
門前通りの店が、いなり寿司を1個売りする「豊川いなり寿司食べ歩きプラン」を
企画したところ、大当たり。バスの駐車台数が昨年比4割増となり、観光客の滞在時間が
約30分から約90分に伸びた。他店舗への相乗効果も見られ、経済効果が出ている
という。また、いなり寿司を出す店も増え、市内の店を紹介する「豊川いなり寿司図鑑」
の掲載店は、昨年の48店から85店へと増えた。
B−1グランプリ出場のため、主催団体の「B級ご当地グルメでまちおこし団体連絡協議会」
(愛Bリーグ)に昨年10月加盟し、準会員になった。その後、全国各地のイベントでの
活動が認められ、今年5月に正会員となり出場権を得た。
大会は9月18、19日、神奈川県厚木市で開催され、昨年11月の「いなり寿司食べ比べ
選手権」で優勝した「わさびいなり」で挑戦する。
もりあげ隊は、大会に向けプロジェクトチームを作って準備を進め、応援ツアーなどを
計画している。笠原隊長は「大会で3位以上を目標にしたい。出場を機に豊川市をますます
盛り上げ、まちおこしにつなげたい」と話している。
毎日新聞
http://mainichi.jp/area/aichi/sunday/news/20100620ddlk23040133000c.html