◇夢の日語ろう
「夢の日」があるのを知っていますか――。「夢中」(む=6、ちゅう=10)の
語呂合わせから、日本記念日協会が6月10日を、周囲の人たちに夢が
かなったことへの感謝を述べる日として認定している。提唱したのは、
直島でカフェを経営する大塚さん。島に魅せられて移り住み、
住民の助けを借りて、夢を実現した。その名付け親がこの日、記念日として
は初めて、これまで支えてくれた島の人を店に招き、感謝の気持ちを伝えた。
大塚さんは埼玉県出身。雑貨販売会社の会社員だった2002年、
美術館「ベネッセハウス」の見学で初めて直島を訪れた。「雑音がなく、
心静かに芸術と向き合える」。たちまち島の魅力にひかれ、翌年再訪した。
ただ、芸術について語り合う場所が少ないと感じ、コーヒーを飲みながら
話ができるカフェの出店を思い立った。
だが島に何のゆかりもない。そんな大塚さんを支えてくれたのが、
ベネッセハウスから紹介され、当時、直島観光のボランティアガイドだった
高橋さんと、高橋さんを通じて知り合い、一緒に店舗兼住宅の空き家を借りた
大谷さん。2人が頻繁に声をかけてくれ、大塚さんは04年2月に移住し、
翌月に念願の「カフェまるや」をオープンさせた。
開店後も、高橋さんはメニューに悩む大塚さんを見てレシピを教え、
大谷さんは冬にストーブを貸すなど、常に見守ってきた。
「2人への感謝の気持ちを伝える日を作りたい」と考えた大塚さんは05年3月、
同協会に「夢の日」を申請。「夢中になれることが少ない時代にこんな
機会をつくろうとするセンスが素晴らしい」と認められた。
開店から6年がたち、経営が軌道に乗ったことから、大塚さんはこの日、記念日としては
初めて2人を招待。「本当に今でも夢のよう。2人がいなかったら店はなかった」と
改めて感謝し、ヒマワリなどの花を贈った。2人は「頑張ったからよ」と温かい言葉をかけ、
その後、3人で「もっと島をにぎやかにしたい」などと夢を語り合った。
同協会によると、今年2月末までに登録された記念日は約630。
うち、個人が申請した日は約20あるという。大塚さんは
「普段は口に出すのが照れくさい自分の夢について、
周囲の人と語る日になればうれしい」と話している。
(一部省略)
ソース(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kagawa/news/20100610-OYT8T01058.htm ▽夢を語り合う大塚さん(中央)と大谷さん(左)、高橋さん
http://www.yomiuri.co.jp/photo/20100610-730323-1-L.jpg