◇アジアゾウの妊娠プロジェクト進行中
昨年上野動物園(東京)から繁殖目的でメスのアジアゾウ「アーシャー」を
借り受けた豊橋市のんほいパークで、園を上げての妊娠プロジェクトが
進行している。鍵は「上野動物園に近い飼育環境」と健康管理や妊娠の
判定を目的とした「ターゲットトレーニング」(飼育係の指示に対し、
決まった反応を学習させる訓練)だ。
アーシャーは上野動物園生まれの33歳。これまで妊娠経験はないが、
金沢動物園(横浜市)などに繁殖目的で貸し出されたとき、ペアリングに
積極的だったなどの経験を買われ、のんほいパークのオスゾウ「ダーナ」の
相手にと白羽の矢が立った。
のんほいパークへの「お輿(こし)入れ」は、昨年10月、
ダーナとの相性はよく、昨年12月にはペアリングにも成功した。
いま、のんほいパークでは園を上げての総合的な妊娠推進プロジェクトが
進んでいる。まずは、「妊娠を促すには日常生活から」とアーシャーが
リラックスできるように、上野動物園に近い飼育環境への取り組みを始めた。
その代表例が、エサの変更。これまで同園では干し草を中心に与えてきたが、
それを生の青草に変えた。安定した食欲が確保できているという。
もう1つは、ターゲットトレーニング。これは飼育係が音や指示棒など
出す命令に対し、ゾウが決まった反応をするように学ばせる訓練だ。
具体的には、飼育係が出す指示に対し、柵の決まった場所から
足や耳を出させることができるようにする。もしできるようになれば、
耳から採取した血液で妊娠の有無が判定でき、健康管理に
必要とされる足の削蹄(さくてい)も可能になる。
斎藤富士雄園長によれば、すでに妊娠している可能性もあり、
そうなればこのトレーニングはさらに生きてくる。「33歳という
高齢を考えると、妊娠・出産がうまくいくかどうか、微妙なところもある。
だが、国内のアジアゾウが減っているいま、なんとか成功させたい」と
話している。
ソース(東愛知新聞)
http://www.higashiaichi.co.jp/today_news/100610t/10061001.html ▽午後3時すぎ、ターゲットトレーニングのため他の動物より
一足早く寝屋に入るアーシャー(右)とダーナ
http://www.higashiaichi.co.jp/today_news/100610t/100610p/10061001.jpg