◇東洋一の百貨店建築 公開
戦前、「東洋一の百貨店建築」と称された高島屋東別館(大阪市浪速区)が
5月29日、6月5、12日の3日間、計120人限定で特別公開される。
地下鉄駅との接続を想定した「幻のアーケード」や、岡本太郎さん原画の
タイル画など、普段は見られないバックヤードも見学できる。建築物の公開を
通して地域を活性化する市民参加型イベント「オープン! アーキテクチャー」の
一環で、大阪では初めての試みだ。
高島屋東別館は堺筋に面した日本橋の電器店街の一角にある。地上7階建て、
地下2階。当初は松坂屋大阪店として、1928年(昭和3年)から37年(同12年)に
かけて順次、完成した。66年の閉店後は、建物を買い取った高島屋が事務所中心で
使用してきたため、外観、内部ともほぼ当時のまま保存されてきた。
建築はルネサンス様式で、外観はテラコッタ彫刻で飾られ、建物内は
壁面や階段などにふんだんに大理石が使われている。
産業遺産に詳しい垣本徹・大阪教育大助教は「贅(ぜい)を尽くした戦前の
豪華建築がそのまま残ったタイムカプセルのようだ」と評価する。
地下2階には、地下鉄堺筋線の駅建設を想定して、ホームと店舗を直結する
アーケードが作られている。同線が開業した69年にはすでに松坂屋大阪店は
閉店された後で、駅建設は幻に終わった。壁の向こうからは地下鉄電車の
ごう音が聞こえてくる。
屋上には、街を一望できるプールの跡が残っている。子どもたちの人気を集めた
スポットで、冬季にはスケート場としても利用されていたという。高島屋大阪店の
食堂を飾っていた巨大タイル画も移設、保存されている。原画は岡本太郎さんが
描いた。
主催するオープンアーキテクチャー実行委員会の斉藤理さんは「大阪には個性的な
建築物が多い。公開は地域の歴史、文化を読み解くことだ。都市観光の新しい資源の
発掘につながってほしい」と話している。
◆
「オープン! アーキテクチャー」は2008年に東京で始まった。大阪では、
大阪市立大大学院創造都市研究科OBらでつくる「大阪創造都市研究会」などが
共催。高島屋東別館の特別公開は各日、午前10時半、午後1時半の2回で、
定員各20人。入場料(資料代含む)は1000円。船場の綿業会館(5月28日)や、
なんばターミナルビル(6月2、9日)も特別公開(有料)される。いずれも予約制。
(以下省略)
ソース(読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/osaka/news/20100525-OYT8T00119.htm ▽昭和初期の外観を残す高島屋東別館
http://www.yomiuri.co.jp/photo/20100525-421572-1-L.jpg ▽岡本太郎さん原作タイル画
http://www.yomiuri.co.jp/photo/20100525-421592-1-L.jpg ▽幻のアーケード
http://www.yomiuri.co.jp/photo/20100525-421599-1-L.jpg