◇使い終えた制服 後輩へ 足利のリサイクル活動15年目
間もなく入学シーズン。喜びの一方で保護者の頭を悩ませるのが新たな出費だ。
中でも制服は、高価な割に着られる時期が限られ、卒業後は大半が捨てられる。
「これはもったいない」と、足利市の消費者団体が始めた「制服リサイクルバンク」が
十五年目を迎えた。常設スペースで不用になった制服を引き取り、欲しい人に
譲る取り組みは全国的にも珍しいという。不況やエコブームの中で、
ますます評価が高まっている。
運営するのは、市内の主婦らが一九七二年に設立した「足利市くらしの会」。
市民を対象としたアンケートで制服のほとんどが廃棄されていることを知り、
九六年にバンクをスタートした。
バンクは市消費生活センターの一角にあり、市内在住、在学が利用の条件。
約三十五平方メートルの部屋には、地元の中学、高校の制服が学校別にずらり。
シャツや体操着、柔道着などもあり、計千五百着前後をそろえている。無償での
提供が原則で、袖やすそが傷んでいたものは会員が自ら直す。譲る際の料金は
学生服上下で「クリーニング代程度」(同会)の二千円ほど。
この時期は最大の繁忙期。大学を卒業して四月から就職という女性は、
高校時代の制服を持ち込み「一つの区切りかな。後輩の役に立てれば」としんみり。
友人と替えのスカートを探しに来た高校二年広瀬さんは「安いから助かる。
再利用は素晴らしいと思う」と笑った。
これまでに約一万五千着の提供を受け、約一万二千着を譲り渡した。
ここ二、三年はエコ意識の高まりに不況が重なって、利用者は増加傾向だという。
これまでの活動が評価され、くらしの会は二〇〇九年度の地域づくり
総務大臣表彰を受賞した。浅沼和子会長(69)は「思い出が詰まった
大切な制服が資源となり、先輩・後輩が“見えない糸”でつながっている。
糸をつなぐ役割を次の世代にも伝えていきたい」と訴えた。
(一部省略)
ソース(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20100401/CK2010040102000104.html ▽制服を整理するくらしの会のメンバー。常時1500着前後の制服などがそろっている
http://www.tokyo-np.co.jp/article/tochigi/20100401/images/PK2010040102100024_size0.jpg