◇天使パンで癒やし感動賞 鎌倉の多以良さん
【神奈川】鎌倉市の高次脳機能障害者で「天使のパン」を作る多以良泉己(たいらみずき)さん(34)が、
社会に感動を与えた市民をたたえる「シチズン・オブ・ザ・イヤー」(シチズンホールディングス主催)に選ばれた。
「ここまで来られたのも、奥さんの支えがあったから」。1月27日に都内で開かれた
表彰式のあいさつで、多以良さんは妻の総子さん(39)への感謝をこめた。
競輪選手だった4年前、レースで落車し、脳・頸髄(けいずい)損傷で全身まひに。新婚5カ月の惨事だった。
3カ月余の入院中、看病していた総子さんは、夫がリハビリで粘土をこねるのを見て「子供のころから
好きだったケーキ作りができないか」とひらめいた。
退院後、自宅のキッチンを多以良さんが動きやすい高さに改造し、オーブンでパン、ケーキ作りを始めた。
食べた友人らの口コミで評判になり、選手引退の08年からインターネット販売を始めた。
自宅を総子さんが好きな仏語で「天使の館」と名付けた。総子さんのメッセージを添えた
二人三脚のパンは、障害のある顧客から「天使のパン」と呼ばれるように。「パンに癒やされた」
「励まされた」との便りが全国から届いた。
早朝から仕込み作業にかかる。北鎌倉のわき水を使い、厳選した素材で仕上げる。
週3回のはり治療を続けており、体調の事情で作れるのは「1日に5人分が精いっぱい」だ。
キッチン横の部屋には、競走用自転車が1台。左脚の感覚がまひしているため、多以良さんは
ローラーの上でこぎ、筋力アップをはかる。「いやぁー、まだ10分も踏めば全身が痛くて」とはにかむ。
受賞で新たなチャレンジ精神に火がついたか。
ソース(毎日新聞)
http://mainichi.jp/select/wadai/horidashi/news/20100220mog00m040022000c.html ▽「もっとメニューを増やしたい」と表彰状を見せる多以良泉己さんと総子さん
http://mainichi.jp/select/wadai/horidashi/news/images/20100220mog00m040021000p_size5.jpg