豊島区内で不法に放置されていた自転車が、南太平洋の島国、フィジーで、エイズの啓発活動をする
ボランティアの交通手段として活躍している。
橋渡し役となったのは、同区出身の国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊員、清水さん(26)。
フィジーでは自転車が普及しておらず、地元で注目を集めているという。
清水さんは「私たちの活動を住民に広くアピールできる」と喜んでいる。
清水さんは2008年、「海外で現地の人と一緒に一つのプロジェクトを手がけたい」と思い、
青年海外協力隊に応募した。同年6月にフィジーへ派遣され、エイズに関する正しい知識を
広めるための保健ボランティアの育成や、啓発活動のサポートなどをしている。
清水さんによると、フィジーのヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染者数は約300人で、
社会的に深刻な状態にはなっていない。
清水さんは、「今のうちに予防教育をすることが重要で、コミュニティーに入って活動する
保健ボランティアの役割は大きい」と力を込めて話す。
フィジーの農村部の集落は、幹線道路から離れ、自動車では入りにくいような場所に点在している
ことが多く、保健ボランティアの活動範囲が限られていた。
その様子を見た清水さんは、フィジー政府や豊島区に、「ボランティアへ自転車を提供してほしい」
と直談判した。
同区は1989年、放置自転車が多い都内などの自治体に呼び掛けて「再生自転車海外譲与
自治体連絡会」を設立し、引き取り手のない自転車をこれまで約90か国に寄付してきた。
フィジー保健省から依頼を受けた区は2009年11月、同連絡会を通じて160台を現地に贈った。
自転車は12月から、各地のボランティアに提供されている。
乗り方を覚えた女性たちが自転車で家々を回る姿は、たちまち評判になり、活動自体にも注目が
集まるようになってきたという。
清水さんは「敬虔(けいけん)なキリスト教徒の多いフィジーでは、人前で性に関する話をすることは
タブー視され、保健ボランティアの活動もまだまだ理解されていない。エイズに対する意識を
もっと高めてもらえるよう知恵を絞りたい」と話している。
ソースは
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/news/20100125-OYT8T00123.htm 届いた自転車を、フィジーのシャルマ保健相と共にお披露目する清水さん(右)
http://www.yomiuri.co.jp/photo/20100126-187627-1-L.jpg