◇かきねのかきねのまがりかど〜 『たきび』豊田駅発車音に
♪かきねのかきねのまがりかど−。東京都日野市のJR豊田駅のホームで、
童謡「たきび」が電車の発車を知らせるメロディーとして二十三日から流れる。
作詞者の詩人巽聖歌(たつみせいか)(一九〇五〜七三)が同市内に
住んでいたことから、地元の商工関係者がJRに働き掛けて実現した。
児童文学者でもあった巽は、童話作家の新美南吉を世に紹介した功績でも知られる。
戦後、日野市に移り住み、六十八歳で亡くなるまでの二十五年間を豊田駅西側の
同市旭が丘で過ごした。
一九四一年に「たきび」を作詞。世田谷区立用賀小校長などを務めた
作曲家の故渡辺茂さんが曲を付けた。
旭が丘地区では巽をしのび、公園に「たきび」の詩碑を建てたり、毎年、
「たきび祭」を開く。二〇〇六年からは、旭が丘商工連合会を中心に
豊田駅の発車メロディーに「たきび」を採用してもらおうと運動。
署名を集めるなどした結果、採用が決まった。
巽の長女中川さんは「本当にありがたい」と喜ぶ。酒が大好きだった巽は、
豊田駅近くの店で飲むことも多かったといい、「初対面でもすぐに
仲良くなる性格。本当に地元が好きで、よく豊田駅からふらふらと
千鳥足で帰ってきましたよ」と笑う。「『たきび』で少しでも駅の
お客さんの心が温まればうれしい。優しくておせっかい焼きだった
父も喜ぶと思う」と話している。
ソース(東京新聞)
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2010012290135258.html