高齢者癒やす新たな“犬生” 老犬ホームに
大分市廻栖野にある九州初の老犬ホーム「和泉しあわせの丘りあん」に9日、ユーザー(使用者)が
亡くなったため盲導犬を引退したイアン(ラブラドルレトリバー、雄・4歳)が入居した。イアンは第2の
“犬生”を、お年寄りの心を癒やすセラピー犬として歩むが、このようなケースは九州でも大変珍しい。
ホームへの引き渡し式には、隣接する高齢者施設のお年寄りも訪れて温かく迎えた。
イアンは東日本盲導犬協会(栃木県)で訓練を受け、2歳だった2007年に大分市の藤沢直美さん
(故人)の元に来た。「散歩、病院への付き添い、どんなときもぴたりと寄り添っていた。
イアンのおかげで妻の行動範囲は格段に広がった」と夫の夏美さん(63)は振り返る。
しかし、昨年12月、直美さんは病気のため62歳で他界。火葬場で、イアンは不帰のあるじを待ち、
足を踏ん張って動こうとしなかったという。
引き渡し式には、イアンの訓練を担当した木戸八寿子さん(26)も栃木から駆け付けた。八木さんは
イアンからハーネス(胴輪)を外し、「ここなら愛情をたっぷり受けられる。まだ若いので新たな役割を
担って幸せに暮らしてほしい」と優しく体をなでた。
その様子を見ていた高齢者施設利用者の奈須信子さん(76)、佐藤ケサ子さん(88)、河野早人さん
(84)は「イアンが来たので、これからにぎやかになる。触れ合うのが楽しみ」。大分盲導犬協会の湯沢
純一会長(59)は「盲導犬の余生を安心して託すことができる施設があるのは、わたしたちユーザーに
とっても心強い」と喜んだ。
老犬ホーム管理者の外川水奈子さん(35)は「普段はほとんどしゃべらないお年寄りが犬には話し掛けたり、
触れようと手を伸ばしたりする。犬にはそんな特別な力がある。今後は一緒に福祉施設や教育現場を回り、
命の大切さを伝える活動もしたい」と話した。
<ポイント>老犬ホームりあん
「りあん」はフランス語で「きずな」の意味。引退後の盲導犬や介助犬を引き取る九州初の専門施設として
昨春オープン。同ホームでは、外川さんが犬の毛を切りそろえたり、洗ったりするグルーミングの営業も行っており、
その収益などでホームを運営している。NPO法人の認証を県に申請中で、認証後は会員やボランティアを募って活動する。
▽画像
盲導犬を引退したイアン。今後はセラピー犬として生きる
=9日、大分市廻栖野の老犬ホーム「和泉しあわせの丘りあん
http://www.oita-press.co.jp/mobile/data/local_news/2010/01/2010_126308282194.jpg ■ソース:大分合同新聞 [2010年01月10日 09:18]
http://www.oita-press.co.jp/localNews/2010_126308282399.html