失明するまでにたくさんの想い出を、ミス・ワールド目指す23歳の英女性。
普段当たり前のようにできることができなくなったとき、初めてその有り難みに気付かされることは数多い。
特に病気やケガといった健康に関わることについてはなおさらだろう。
「近いうちに目が見えなくなる」。
英国に、突然の病気で左を失明し、いつ右目が失明してもおかしくないと宣告された23歳の女性がいる。
自分の状況に置き換えれば、そのショックの大きさたるや想像に難くないが、この女性は
「今のうちに想い出を」と残された時間を有意義に使うことに決め、地域のミス・コンテストに出場。
見事に優勝し、英メディアの注目を集めている。
英国のケルフィリーに住むニコラ・トーマスさんは2年前、テレビを見ているときに左目が見えづらいことに気付いた。
病院で診察を受けたところ、医師が下した診断は「デビック病」。
視力や運動能力に影響が出る病気で、日本では「視神経脊髄炎」や「視束脊髄炎」と呼ばれる病気だ。
英紙サンによれば、トーマスさんはこの病気で今年初めに左目を失明し、右目もいつ失明してもおかしくないという。
「普通の人生を送っていたのに、次の瞬間、今度は完全な闇に直面するなんて、本当に恐かった」と、トーマスさんは語っている。
仕事も長期休暇を余儀なくされ、もっぱらベッドで音楽を聞きながら一日を過ごす生活となったトーマスさん。
それまで毎週末は友人らと過ごし、楽しんでいた生活は一変してしまった。
「自分に自信が無くなって、もうダメな人間に思えてたくさん泣いた」と、当初は絶望感に襲われたという。
しかし、周囲の助けが彼女を前向きな気持ちにしたようで、家族や友人はもちろん、交際しているボーイフレンドは、
目が見えるうちに焼き付けておいて欲しいと、パリへ「ロマンチックな旅行」に連れていったそうだ。
「私は永遠に目が見えなくなるのかもしれない。でも、それまでに思い切り詰め込んだ生活を過ごして、
その先にたくさんの想い出を持ち続けていたい」と語るトーマスさんは、先日、ある行動に出た。
それは周囲も認める美貌を生かし、ミス・コンテストに出場すること。
彼女は良い想い出を作るべく、地元で開かれた「ミス・ケルフィリー2010」にエントリーした。
結果は見事に優勝。「何かをしたかった」と行動に飢えていたトーマスさんにとって、この優勝は最高の自信に繋がったようだ。
「こんなに美しい女性たちの中で勝つことができて、本当に素晴らしかった」と涙を見せ、応援した家族や友人は喝采が送られたという。
そして、トーマスさんには次のステップも用意された。来年6月に開かれる「ミス・ウェールズ」への参加資格を獲得。
「ミス・ウェールズ」は、世界の美女の間で争われる「ミス・ワールド」への出場権にも繋がる大きな大会だ。
今できる行動を最大限に楽しんでいるトーマスさん。待ち受ける大きな舞台からの景色や、
ステージにあてられるスポットライトも想い出に残せるように、1日でも長く視界を保てることを祈りたい。
◆画像:英紙サンに掲載されたニコラ・トーマスさん
http://www.narinari.com/site_img/photo/2009-12-15-133059.jpg ■ソース:Narinari.com 2009/12/15 13:34 Written by Narinari.com編集部
http://narinari.com/Nd/20091212776.html