のど自慢『初代』鐘 高らかに 葛飾区の葛西神社
「合格」を告げる鐘の音でおなじみの、終戦直後から続く人気長寿番組「NHKのど自慢」。
その初代とされる鐘が、東京都葛飾区東金町の葛西神社に奉納されている。
今も現役で、毎年十一月の「酉(とり)の市」の日に開かれる素人のど自慢大会で、
境内にどこか懐かしい音を響かせている。 (井上幸一)
この素人のど自慢は毎年「二の酉」の日に神楽殿の舞台で開催。
境内に並ぶ「くま手」売りを盛り上げようと昭和十四、五年ごろ始まった伝統行事だ。
今年は二十四日夜に開催、五十代以上の男女十二人がカラオケのテープ持参で出場。
例年通り、時事漫談の芸人・牧のぼるさん(55)が鐘をたたいた。
鐘は高さ一・五メートルほど。木製の枠に、長さの違う金属パイプが四本つるされ、
木づちでたたくと「ド、シ、ラ、ソ」の音が鳴る。
初出場で「雪の海峡津軽」を熱唱、見事『キンコンカンコン…』と合格の鐘を鳴らした同区
高砂の主婦細井とも子さん(59)は「番組と同じような音は気持ちいい」と満足げ。
宇都宮市から訪れ、「竹」を歌って合格した汐崎幸雄さん(66)は「金子辰雄アナが司会の時代、
NHKの番組にも出て合格した。鐘の音を聞くと、懐かしい気がする」と感慨深そうに話した。
これがNHKのど自慢初代の鐘だという、はっきりした記録はないが、地元ではよく知られており、
同神社もホームページに記載している。「定かでないが、奉納されたのは昭和二十四、五年では」と話すのは、
父親と二代にわたり素人のど自慢で審査員を務める、日本郷土民謡協会名誉教授の鈴木敏雄さん(61)=同区内在住。
NHKの番組は、一九四六(昭和二十一)年、「のど自慢素人音楽会」としてラジオで始まり、五三年からテレビ放送開始。
鐘も徐々にグレードアップし、不要になった草創期の鐘を「いい音がするのに、もったいない」と、
NHK関係者を通じて当時の氏子が譲り受けた−。このように地元では伝えられてきた。
NHK広報局は、「番組関係者に確認したが、初めて聞いた話で、
奉納した事実があったかどうかも分からない」としている。
◆画像:NHKのど自慢初代のものとされる鐘をたたく牧のぼるさん(左)=東京都葛飾区東金町で
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/images/2009112699135605.jpg ■ソース:東京新聞 2009年11月26日 13時56分
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2009112690135605.html