食用や運搬、鑑賞などのために改良され、飼育されている家畜・家禽(かきん)。
ブタやニワトリなどが代表格だが、明治以降に外国から入ってきたものが多く、それ以前から
日本で飼われている「在来家畜」は数を減らしている。その価値を見直し、保護する試みが、
上野動物園(東京都台東区)で進んでいる。
「在来家畜は、人とのかかわりが深く、日本の文化や歴史を語るうえで欠かせない存在。
希少種のトキなどと同じぐらいの価値がある」。上野動物園の小宮輝之園長はそう強調する。
小宮さんは04年8月の園長就任以降、在来家畜の飼育に力を入れ、鳴き声が長いことで
知られる国の天然記念物のニワトリ「東天紅」や本州唯一の在来馬「木曽馬」など12種類が
飼われている。
在来家畜のうち、ウシやウマは5〜6世紀に朝鮮半島からやってきたとされる。
「明治以降、肉や乳が多く取れる外国産の家畜が普及した。一方で、在来家畜は激減していったが、
野生の希少動物と異なり、その保護にはほとんど関心が向けられなかった」と小宮園長は指摘する。
今や貴重な在来家畜。同園では飼育にとどまらず、本来の姿を来場者に見てもらうことも検討している。
現在、愛媛県内でミカンの運搬などを担っていた「野間馬」を園内の荷物運搬に活用するための
訓練が続いている。在来家畜を飼育している同園子ども動物園の高藤彰係長は「来場者に本来の姿を
見せることで、その価値を再認識してもらえるはず」と期待している。
また、小宮さんは、在来家畜の研究者でもある秋篠宮さまとともに図鑑「日本の家畜・家禽」
(学習研究社)を出版。出版を記念した展覧会「生ける文化財展 日本人とともに生きた家畜たち」
(毎日新聞社など後援)が、18日から松坂屋上野店(東京都台東区)で始まる。
23日まで、入場無料。【佐藤岳幸】
http://mainichi.jp/select/science/news/images/20091118org00m100035000p_size5.jpg 在来家禽の一つで、国の特別天然記念物でもあるオナガドリ=東京都台東区の上野動物園で
ソース:(2009年11月19日)
http://mainichi.jp/select/science/news/20091117ddm012040147000c.html