がん治療の副作用などで脱毛に悩む女性に、かつらを無償で贈る取り組みが広がっている。
満足できる品質のかつらは20万円以上するものが多く、患者の経済的負担が大きい。
そこで女性たちが、かつらを作るための毛髪を提供。「身なりを整えたい」と願う患者への
支援になっている。
がん患者支援に取り組んでいるNPO法人「キャンサーリボンズ」(東京)などの呼びかけで、
首都圏の看護女子学生約50人が今春、毛髪の提供に協力した。髪の毛を失った女性がん患者に
かつらを作って贈るのが目的だ。学生は昨秋から半年間、手入れをしながら髪を伸ばし、
3月に東京都内の美容院でカットした。そうやって集めた学生の毛髪からかつらを作り、
6月に女性がん患者9人に贈った。
キャンサーリボンズの広瀬瑞穂さんは「満足できる品質のかつらは20万〜30万円するのが現状。
高額なため購入できないまま、『人に会いたくない』『外出したくない』と悩む患者も多い。
かつらを贈られた女性は『前向きになれた』と喜んでいます」と話す。
千葉県柏市の美容院「サロンド エレガンス」も5月と6月の週末、米国の女性がん患者用の
かつらに使う髪の毛を贈るためにカットイベントを開いた。
寄贈できる毛髪は、〈1〉毛染めやパーマをかけていない〈2〉毛を束ねた状態で20センチ以上
あること――などの条件があるが、主婦や小学生が毛髪を提供。美容師が参加者の伸びた髪を無料で
切り、シャンプーしてセットし直した。参加者も「がんに苦しむ人の役に立ててよかった」
と喜んだという。
このイベントを企画したのは、美容師の長岡さん(30)。2007年から約1年半勤めた
ニューヨークの美容院で、女性がん患者のかつらを作るキャンペーンに、ボランティアとして
参加したことがきっかけとなった。
米国の家庭用品メーカー「P&G」が06年からこのキャンペーンを始め、高校生や主婦らが
髪の毛を提供し、これまでに3000個以上のかつらを患者に寄贈している。
「私自身、渡米前に祖母ががんで亡くなり、治療の副作用で髪の毛を失った姿を見てつらい思いをした。
美容師という職業を生かして、脱毛に悩む患者を国を超えて支援したかった」と長岡さんは話す。
長岡さんの取り組みを知った女性からも髪の毛が美容院に届けられ、長岡さんはこれまでに自分を含め、
13人分の毛髪をキャンペーン事務局に郵送した。25日夜も、同美容院でイベントを開く予定だ。
P&Gの日本本社(神戸市)も活動を日本で広げようと、7月から10月まで自社のヘアケア製品の
売り上げの一部をキャンサーリボンズに寄付し、かつらの購入費用に充ててもらう。
年内に約100個のかつらの提供を計画しており、がん患者向け雑誌などでかつらの希望者を募る。
乳がんを経験した美容ジャーナリストの山崎多賀子さんは「女性のがん患者は、髪の毛を失うことで
人目を避けがちになり、社会との接点も断とうとする。それほど深刻な問題。かつら用の毛髪提供の
取り組みは、患者のQOL(生活の質)の向上や精神的な支えにつながる」と話している。
ソースは
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/mixnews/20090715ok01.htm 依頼を受けてたてました。