東京都心のJR飯田橋駅近くの外堀のボート場。オーナーの羽生裕子さん(56)は2年前から、
ここを「ホタルの飛び交う場所にしたい」と取り組む。外堀の水が流れ込む神田川と
日本橋川流域の人と一緒に水の浄化活動をしながら、お堀育ちのホタルが見える日を
待ち望んでいる。
羽生さんは、外堀の一角にある牛込濠(ぼり)でボート場を併設するレストラン「カナルカフェ」も
経営する。中央線の車窓からもよく見える場所だ。
実家は、祖父が約90年前に始めたこのボート場の真上にあった。
子どもの頃の牛込濠は、豊かに茂る水草がたくさんの小魚やエビを育み、鳥も多く集まった。
夏の夕べにはボートに乗って涼みながら、飛び交うホタルを見て楽しんだ。
「あの風景を取り戻したい」。2年前、千代田区の企業や住民らがつくるNPO法人
「日本橋川・神田川に清流をよみがえらせる会」が、両方の川に水が流れ込む牛込濠の水を
きれいにしたい、と活動を始めると、羽生さんはすぐに参加した。
いずれホタルを堀に放す日を夢見て、羽生さんはボート場事務所の水槽で、ホタルの幼虫の
えさになるカワニナ約400匹の繁殖を始めた。
会は、水質浄化に取り組む活動をしている。水がきれいになったと感じた今春、羽生さんは堀に
浅瀬をつくり、カワニナを放ってみたら、堀の水で育ち始めた。
「そろそろか」と4月末、ヘイケボタルの幼虫200匹を放つと、今月1日には、羽化して、
白く光る念願のホタルを初めて見つけた。「成虫と交配して卵を産んでほしい」と願って、
19日には、成虫200匹を放った。
「来年は、お堀育ちのホタルが飛び交ってほしい。そのためにも、ホタルが自然に育つ環境に
しなくちゃ」。羽生さんは、そう話している。
ソースは
http://www.asahi.com/travel/news/TKY200906250149.html 外堀にあるレストランの池に放たれたホタルの光跡=19日夜、新宿区神楽坂1丁目
http://www.asahi.com/travel/news/images/TKY200906250154.jpg ここの場所の地図は
http://www.asahi.com/travel/news/images/TKY200906250159.jpg