石川県のと鉄道穴水駅前近くにある、カウンターのみ13席の小さなすし店「幸寿し」(穴水町大町)は、
2004年にインターネット通販を始めて以来、売り上げが“うなぎ登り”に増え続けている。
能登半島地震で、店が壊れたが、全国のネット通販客に励まされて復活。今や、売り上げの半分を
通販で得るほどになった。店主の橋本公生さん(55)に、不況下での繁盛の秘訣(ひけつ)を聞いた。
店のホームページ(HP)には、高級珍味「クチコ」「コノワタ」のほか、自ら作るしめサバや押しずし、
鍋セットなどの写真が画面いっぱいに並ぶ。海産物を使った料理方法なども紹介、ブログもあり、
内容は充実している。
能登産にこだわった海産物や珍味など常時110品をそろえ、全国から毎月約200件の注文が
舞い込む。橋本さんは「すし屋がやってるネット通販だから買ってもらえる。その客が観光で
店にも来てくれる。相乗効果ってやつですよ」と話す。
HP制作は橋本さん自ら手がける。内容の高度さに、「私が作ってると信じない友人もいるんですよ」
と笑う。プロも使うHP作成ソフト「Dreamweaver(ドリームウィーバー)」を駆使して、
客のいない時や閉店後に毎日約3時間、パソコンに向かう。「まめに更新するのが大事。
業者に作ってもらっても、更新がないと客は来ません」と明かす。
HPを開設したのは、ちょうど50歳だった04年1月。過疎化や景気の悪化で、30年続く店の
売り上げはピーク時の半分になり、「必要に駆られて」ネット通販を思いついた。
だが、パソコンの使い方はもちろん、「アットマーク」「スラッシュ」など基本的な用語の意味すら
わからない。意を決して1回7000円の家庭教師を10回依頼し基礎から学んだ。
HP開設前の3か月間は、金沢市まで車を1時間半飛ばして講習会にも通った。
最初はつたないHPだったが、毎日のように更新を続けるうち、制作技術も上達。
会計システムなど複雑なプログラムも自分で組めるほどになった。
店の経営が再び軌道に乗り始めた07年3月には、能登半島地震で、ビル1階の店は壊滅状態に。
途方に暮れたが、電話やインターネットが復旧した途端、全国の客から「大丈夫か」「義援金を送る」
との連絡が相次いだ。橋本さんは「ネット通販をしていなかったら、地震を機に店をやめていたかも
しれない」と振り返る。近くにプレハブを建て、地震後わずか3か月で営業を再開した。
今年3月には、県産業創出支援機構の「ネットショップコンテスト石川2008」の初代グランプリに
選ばれた。
「10月には、ジャンル整理とセキュリティー強化のため、HPを全面的にリニューアルする予定」
と、意欲は衰えない。
ソースは
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20090626-OYT1T00073.htm?from=main5 パソコンに向かう橋本さん
http://www.yomiuri.co.jp/photo/20090626-438389-1-L.jpg 幸寿し
http://www.kouzushi.com/