美浜町布土の知的障害者授産施設「セルプ・アゼーリア」が、常滑市の土産物「招き猫
マドレーヌ」の製造を岐阜市の施設から引き継ぎ、6月から出荷を始めた。職員は
「一般の市場で売れるものを作り、可能性を外に広げたい」と意気込んでいる。
マドレーヌは招き猫の形で、黄色やオレンジ、緑色など8種類の色があり、食べると
恋愛や金運など色ごとに異なる御利益があるという設定だ。アゼーリアでは、通所者が
調理の下準備や包装を担当。常滑市のやきもの散歩道で知多半島の特産品を扱う
「縁集工房『和(なごみ)』」で販売する。
招き猫による町おこしに取り組む常滑商工会議所のメンバーが3年前に企画したが、
焼き菓子を作れる施設が周辺に見つからなかったため、親交のある岐阜市の授産施設
「第二いぶき」に製造を頼んで仕入れていた。
第二いぶきが2007年にネット上でも発売すると、雑誌や新聞に紹介されて反響を呼び、
「ご当地商品」の枠を超えて全国的な人気を集めた。次第に製造が追いつかなくなり、
そもそものきっかけとなった常滑への納入が難しくなった。
そこで、パン製造の実績があるアゼーリアが手を挙げた。アゼーリアの職員は同じ味や
整った外見を保つため第二いぶきの担当者と何度も話し合い、今年に入って知多半島での
製造販売の引き継ぎにゴーサインが出た。
藤原施設長(39)は「従来は『施設の商品だから』と甘えの部分があった。工程管理や
包装一つ一つの同一性など、一般企業と同じ土俵で競う厳しさを学んだ」と話す。さらに
「職員が施設利用者の限界を決めてしまうのではなく、新しい取り組みに挑戦していきたい」
と述べる。
「和」を経営する吉田さん(49)は、製造元が美浜に移ったことに「これまで観光客から、
なぜ岐阜産なのかと聞かれることもあった。広い意味の地元産になることはありがたい話」
と歓迎している。
中日新聞:
http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20090610/CK2009061002000029.html 画像:製造を始めたカラフルな招き猫形マドレーヌ=美浜町布土のセルプ・アゼーリアで
http://www.chunichi.co.jp/article/aichi/20090610/images/PK2009061002100071_size0.jpg