県内で地域によっては絶滅が危惧(きぐ)されているホンドギツネが鶴ケ島市の
市街地で営巣し、子育てに励んでいる。埼玉県生態系保護協会によると、県内では
荒川などの河川敷や土手で穴を掘って営巣する姿は確認されているが、人間への
警戒心が強く、民家が点在する市街地で生息が確認されるのは珍しいという。周辺
住民らは思いもよらぬ珍客に「なぜ、こんなところに」「何十年も前から住んでいるが、
こんなことは初めて」と驚いている。
営巣が確認されたのは、同市東部の小学校近くの雑木林に隣接する約1千坪の平地。
街路樹などを伐採した丸太が高さ2bほどに積み上げられており、ホンドギツネはその
中で営巣しているらしい。数十メートル離れたところに学校の校庭があり、民家も点在
している。
近所の人たちの話によると、今年4月初旬ごろから、つがいのキツネと子ギツネ3匹が
丸太の山から出入りし、周囲を走る姿が目撃されている。親キツネは体長70〜80センチ、
子キツネは20〜30センチ。全体は薄茶であごから胸にかけて白く、しっぽも白い。
近くの自営業女性(58)は「毎朝5時半ごろから6時すぎごろまでと夕方に出入りしている
ようです。最初は犬かと思ったが、しっぽの形が違うし、『こっ』という鳴き声を聞いて
キツネだと思った。デジカメの音にも敏感に反応するので、写真を撮るのも一苦労です」
と話す。
県生態系保護協会によると、ホンドギツネは、ネズミやウサギ、蛇、小鳥などを餌にする
夜行性の肉食獣。冬から春にかけてが繁殖期で、春先に2〜7頭の子どもを産み、
五カ月ぐらい子育てをする。秋口に独立するが、雌だけは親の縄張りに生息し、
翌年に母親の子育てを手伝うという。
同協会は「餌がないと、近所の農作物を荒らす可能性はあるが、人に危害は加えない。
栄養バランスや独立して生きていくためにも餌付けはやめてほしい。1番良いのは人と
かかわらず、放っておくこと。キツネのためにも、できれば遠くから見守ってあげてほしい」
と話している。
ソース
http://www.saitama-np.co.jp/news05/28/09l.html http://www.saitama-np.co.jp/news05/28/09l.jpg