<手ぬぐい一筋三代展>
粋な江戸風の手ぬぐいが、さらに受け継がれてゆく――。
台東区浅草2丁目の手ぬぐい店「ふじ屋」の故川上桂司さんと、長男の千尋さん(58)に、
孫の正洋さん(24)を加えた、親子3代による展示会「手ぬぐいあわせ」が1日、新宿区の
京王プラザホテル(西新宿2丁目)ロビーギャラリーで始まった。(相関真樹子)
会場に入ってすぐに、3人の作品が順に並んでいる。桂司さんの、おこそずきんをかぶった
文楽人形の印象的な絵柄、千尋さんの単色のバラのモダンな絵柄、そして正洋さんの
今年の干支(え・と)、初々しく、かわいらしい子(ね)の絵柄の手ぬぐいだ。
江戸時代の絵師で戯作(げ・さく)者の山東京伝が当時はやっていた様々な図柄でデザインを
競い合う遊びを手ぬぐいに採り入れ、1784(天明4)年に開いた展覧会「たなくひあわせ
(手ぬぐいあわせ)」で、手ぬぐいは初めて見て楽しむものになったといわれる。
桂司さんは戦後復員した後、家業の帯の染色から江戸の手ぬぐいのデザイン制作に転じた。
山東京伝が開いた「手ぬぐいあわせ」に出品された作品を30年以上かけて復刻するなど、
江戸の図柄を研究。一方で、歌舞伎俳優や下町の四季など様々な題材で作品をデザインした。
昨年の11月に89歳で亡くなったが、亡くなるその日まで、仕事を続けていた。
千尋さんは20歳の時に店に入った。
染めではなく手描きの作品に挑戦したり、海外でも様々な展示会を開いたりするなど活躍している。
そして正洋さんが大学を卒業して店に入り、デザインの勉強を始めたのは一昨年4月。
桂司さんはことのほか喜び、「三代展」を楽しみにしていたという。
「手ぬぐい一筋の人だった父がつくったものを遺産にしてしまうのではなく、それを継承し、
作り、伝えていくことが私たちの役割」と千尋さん。正洋さんも「祖父と父の作ってきたものを、
受けついで行けるよう勉強し、自分なりにがんばっていきたい」と話す。
三代展は桂司さんと千尋さんの作品を中心に、正洋さんの作品3点を加え約400点が
展示されている。9日まで。午前10時から午後7時(最終日は午後4時)までで、入場無料。
展示されている手ぬぐいは購入も可能。
ソース引用元:朝日新聞(
http://www.asahi.com/)2008年08月02日
http://mytown.asahi.com/tokyo/news.php?k_id=13000000808040001 川上千尋さん(右)と正洋さん。
2人の後ろの3枚の手ぬぐいは、右から桂司さん、千尋さん、正洋さんの作品
=新宿区西新宿2丁目の京王プラザホテル
http://mytown.asahi.com/tokyo/k_img_render.php?k_id=13000000808040001&o_id=2922&type=kiji.jpg