日本では初めての飲み薬の禁煙補助薬が18日、保険がきく薬として
認められた。5月の連休明けには医療機関で使われるようになる見通しだ。
ファイザー社のバレニクリン(商品名チャンピックス)で、脳内のニコチン
依存にかかわる仕組みに直接作用し、喫煙による満足感を得られなくするこ
となどによって、禁煙へと導く仕組みだ。
保険診療が受けられるのは、敷地内禁煙などの条件を満たし、「ニコチン依存
症管理料」を算定している医療機関。規定の12週間、バレニクリンを服用
した場合、薬代の患者負担は3割負担で1万1400円ほどになる。
現在、日本で承認されている禁煙補助薬には、一般の薬局で買えるニコチンガム
(同ニコレット)と、医療機関で処方されるニコチンパッチ(同ニコチネルTTS)
がある。これらは、ニコチン代替療法剤といい、適切な量のニコチンを補充する
ことで急激な禁断症状を和らげる方法だ。
一方、欧米では脳内のニコチン依存の仕組みに作用する、バレニクリンとは別の飲み
薬が10年以上前から使われているが、日本にはなかった。バレニクリンは、世界的
には2種類目の飲み薬の禁煙補助薬として昨年、米国などに登場。日本では初の禁煙
の飲み薬として今年1月承認された。禁煙治療に詳しい奈良女子大教授で医師の高橋さん
は、「これまで張り薬では皮膚がかぶれて使えなかった人などにとって、新たな選択肢
になる」と話す。
ただし、欧米で、バレニクリン使用と自殺衝動などとの関連が疑われたことから、欧米では
薬の説明文書に警告が盛りこまれた。また欧州では心筋梗塞(こうそく)や不整脈が増加
したなどの報告もある。高橋さんは「薬を処方する際には、医師の側としても十分な注意が
必要」と話す。
読売新聞 2008年4月20日
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20080420-OYT8T00205.htm