◇「難関すり抜けたい」 ねずみ小僧の墓に合格祈願 東京
子年(ねどし)の受験シーズンを迎え、東京・両国の回向院(えこういん)にある江戸時代の
盗賊「ねずみ小僧次郎吉」の墓に合格祈願の参拝客が相次いでいる。屋敷に忍び込み、
狭い梁(はり)の間や厳しい警備をすり抜けたねずみ小僧のように、難関をするりと通れる
――というのが受験生らの人気を集める理由だ。
19、20の両日は、大学入試センター試験がある。
墓の前には「お前立ち」と呼ばれる石がある。昔から墓石を削り、かけらや粉を持ち帰って
お守りにする習わしがあるが、本墓を削られてはたまらない。そこで、代わりに置いたのだ。
お前立ちも墓そのものだが、1、2年で更新する。1年半前に置いた今のものはすっかり
すり減り、戒名があった部分はえぐれている。
高校受験を控えた長男のため、母と訪れた千葉県松戸市の主婦藤原さん(43)は
「初もうでした寺にも祈願したが、重ねてお願いに来た。粉は友だちにも分ける」
とこぼさないようにポリ袋に入れた。川崎市のヘルパーの女性は息子の中学受験が迫る。
「祈るくらいしかできない」と熱心に石を削った。
副住職の本多将敬さん(31)によると、墓を訪ねる人は例年より2割ほど多い。
「やはり子年だから、ですかねえ。12年前も多かった」
かつては賭け事など金運を期待しての参拝が多く、親子連れなど合格祈願とみられる参拝は
15〜20年前から増えた。お礼参りも盛んで、御利益があった人などの寄付でお前立ちが
設けられるのは今も変わらないという。
asahi.com 2008年01月18日03時04分
http://www.asahi.com/national/update/0116/TKY200801160174.html 画像:ねずみ小僧の墓の「お前立ち」を削る受験生の家族ら=東京都墨田区の回向院で
http://www.asahi.com/national/update/0116/images/TKY200801160176.jpg