◇報酬は笑顔おもちゃクリニック “完治”喜び合い5年 東区拠点に退職者ら 技術や経験生かして奉仕
東区民センターを拠点にする、おもちゃ修理のボランティアグループ「おもちゃクリニック」が、
十二月で活動五周年を迎える。単純な電池切れから、内蔵した集積回路(IC)の不具合まで、
さまざまな症例のおもちゃが持ち込まれる。報酬は唯一、直ったおもちゃを手にした子供たちの
笑顔だ。
ガガガガ、ジージー。電動ドリルやモーターが回る音に交じって、息を吹き返したかのように、
おもちゃがピロピロと本来の音と光を発する。おもちゃクリニックが開院する木曜午後、
東区民センターの一室はにぎやかだ。八日には、しゃべる電話、釣り堀ゲームなど十七点が
持ち込まれた。
クリニックのメンバーは十人。主力は定年退職した男性たちだ。
活動を始めたのは二○○二年十二月。代表の東本利男さん(72)が設立を呼び掛けた。
電気関係の会社に勤めていた東本さんは退職後、時間を持て余していた。知人が厚別区で
おもちゃ修理ボランティアとして活動していると知り、「自分も技術や経験を役立てたい」と
思い立った。
五年間で直したおもちゃは約千五百点。見たことのないおもちゃが次から次へ、持ち込まれる。
最近は各メーカーともコスト削減のため、交換部品やサービスマンを置いておらず、修理の
問い合わせをしても応じてもらえないことが多いという。東本さんは「壊れたら捨てるのが前提の
おもちゃが多い」と話す。しかし子供にとっては、一つ一つがかけがえのないおもちゃ。メンバーは
何とか直そうと手を尽くす。
原則はその場で修理するが、部品が手元にない場合、預かって直す「入院」になる。
「知らないおじさんに渡したくない」と、嫌がる子供も少なくない。
そんな子供も、修理されたおもちゃを手にする時は笑顔がはじける。
「直せたという達成感に加え、絶対にお金で買えない喜びがあります」と東本さん。
メンバーの一人、高橋哲夫さん(82)も「子供たちから『ありがとう』と言われる、その喜びのために
やっている」と満足そうに話す。
クリニックは区民センターのほか、市内三カ所で開催。修理は無料だが、モーター百五十円など
実費は必要。問い合わせは東本さん(電)(ソース参照)へ。(細川智子)
北海道新聞 11/20 14:29
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/sapporo/61574.html 画像:持ち込まれたおもちゃを懸命に直す「おもちゃクリニック」のメンバー
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/sapporo/image/6714_1.jpg