栄養素を適切な割合で取ることで、ホルモンのバランスを整え、体脂肪が燃えやすい体を
作ろうという「ゾーンダイエット」が注目されている。単にカロリー摂取量を減らしたり、
特定の食品を食べ続けたりする従来の方法とは一線を画す、体に優しいこのダイエット法。
医療機関や外食チェーンでも取り入れる動きが出てきている。
■米国生まれ
日本国内での商標権を持つ「ゾーンジャパン」(東京)の粕谷紀彰広報部長によると、
ゾーンダイエットは米国の生化学者、バリー・シアーズ博士が提唱したダイエット法。
毎日の食事で炭水化物、タンパク質、脂肪のカロリー比率を4・3・3の割合で取る
ことで、急激なインシュリンの増加を抑えるなど体内のホルモンバランスを整える。
その結果、体脂肪が燃焼しやすくなるほか、血糖値が安定して脳が効果的に働くよう
になるという。
「ゾーン」とはホルモンのバランスがとれた状態を意味する。指定の割合で栄養素を
とれば4?時間はゾーンを維持でき、この間は空腹を感じにくくなるという。
同社では昨年11月、東京・白金にゾーンダイエットに基づいた料理を提供するレストランを
オープン。ヘルシー志向の若者や家族連れでにぎわっている。また今月中には理念を
生かしたスイーツのシリーズもデパ地下などで発売する予定だ。
■糖分抑える
「MRCビルクリニック」(東京)の佐々木淳院長は、2年半前からメタボリック症候群の
患者の食事指導などにゾーンダイエットの理念を取り入れている。
佐々木院長は「脂肪分を減らして総カロリー数を制限する従来のダイエット法では、
相対的に炭水化物など糖分の割合が高くなる。糖分は消化が早いため、すぐ腹が減る
ほか、中性脂肪は糖分から作られるため摂生している割には体重が減りにくかった」
と話す。
これに対し、ゾーンダイエットはタンパク質を多く取り、炭水化物の摂取量を少なくする
のが特徴だ。この結果、「従来のダイエットでは一緒に減らしてしまった筋肉を維持
しながら、脂肪を減らすことができる。さらにタンパク質は消化が遅いため空腹を感じ
にくく、継続しやすい」と解説する。
平成18年3?月に行った臨床試験では、被験者34人にゾーンダイエットの食事を4週間
与えた結果、平均で体重が4.2キロ、体脂肪率が3.4%減少したという。
■焼き肉でも
米国では冷凍食品や菓子などにも活用されているゾーンダイエットだが、国内では入って
きたばかり。そんななか、「レインズインターナショナル」(東京)は12日から、
経営する焼き肉チェーン「牛角」の首都圏や甲信越、四国など447店舗で、この理念を
取り入れたメニューを導入する。
高カロリーから焼き肉を敬遠する女性客の声に配慮し、「焼き肉だけれど太らない、
ヘルシーなメニュー」を模索するなかで、ゾーンダイエットに行き着いたという。
野菜で包んだカルビや野菜のホイル焼き、食物繊維が豊富な玄米などを組み合わせた
2種類のセットは、いずれも野菜をふんだんに盛り込んでいるため1000キロカロリー
以下。だが、焼き肉屋に期待される満腹感は損なわないよう工夫した。8月1日から
都内などの5店舗で先行販売しているが、「これだけ食べてこのカロリーとは」と、
客の反応は上々だという。
一般の家庭でゾーンダイエットを試すにはどうしたらいいだろうか。栄養割合を計算した
食事を3食取り続けるのは大変だ。しかし、佐々木院長によると「普段の食事で、主食のみ
を半分にすれば、だいたい4・3・3の割合にできます」という。厳密に実践するには
食材ごとの成分を調べる必要があるが、佐々木院長は「ダイエットは継続することが
大事。難しいことは考えずに、大ざっぱにやってみては」とアドバイスしている。
ソースは
http://www.sankei.co.jp/seikatsu/shoku/070905/shk070905000.htm 牛角の「ZONEヘルシーバランスセット」(1人前)
http://www.sankei.co.jp/seikatsu/shoku/070905/shk070905000-1.jpg