人気キャラクターを包装にあしらった野菜や果物がスーパーの生鮮食品売り場で目につくようになった。
子供に食べさせたい親心と、低迷する生鮮食品の売り上げを回復したいスーパー側の思惑が一致した産物。
同じキャラクターが並ぶお菓子コーナーは「ライバル」なのだ。(津川綾子)
ミッキーの容器に入ったトマト、ミニーのバーコードシールがついたリンゴ…。大手スーパー、ジャスコを
運営するイオン(千葉市)は平成18年12月からディズニー・キャラクターをあしらった包装の果物や野菜を
販売している。
子供の手で食べやすい小ぶりなもの、皮むきが簡便なものが対象。バーコードシールは、ミニーの絵柄の
部分だけ切り取ればシールとして使うことができる。売り場の反応は上々で、子供にねだられた親だけでなく、
「孫のために」とまとめ買いしていく団塊世代の姿も目立つという。
ほかにも1個ずつにキャラクターのシールを張った卵パックなども見かける。
キャラクター付き包装が野菜や果物に登場した背景には、子供の健康や食生活の乱れへの懸念がある。
「親が子供に一番食べて欲しいものも、一番食べさせにくいものも、ともに野菜。給食ではむくのが面倒だからと
ミカンが大量に残るといい、果物も食べなくなっている」(東京ガス「食」情報センターの小西雅子主幹)との指摘もある。
生鮮食品離れは顕著で、総務省家計調査では平成18年、家庭で1カ月間に購入された生鮮野菜は5330円、
果物は2482円。ともに15年前の7割程度に落ち込んだ。
一方、スーパー側には「人気キャラクターをつけることで、消費が落ち込む野菜や果物に関心を持ってもらうきっかけに
なれば」(イオン食品商品本部の富樫弘幸さん)と、消費回復の糸口にしたい考えもある。
ライバルは、ずばりお菓子コーナーに並ぶスナックやチョコレートだ。
「キャラクター付きトマトなら菓子の代わりに買い物かごに入れたがる」と東京都内の主婦(33)は言う。キャラクターの
ライセンス契約を管理するディズニー・コンシューマ・プロダクツも「子供たちが好んで野菜を手にするよう手助けしたい」と、
子供に食べさせるのを手伝うスタンスだ。
米国では、ディズニー・キャラクターのほかに、ニコロデオン社の人気者「スポンジ・ボブ」柄のニンジンの包装が
登場している。05年に、米国科学アカデミー医学研究所が「人気キャラクターを使った宣伝は、健康的な食品や
飲料だけにすべき」と提言したことも影響しているようだ。
こうした取り組みは「食育」の本質とはいいがたい。とはいえ、食卓にのぼるきっかけ作りにはなりそうだ。
(2007/07/08 02:41)
http://www.sankei.co.jp/seikatsu/kenko/070708/knk070708000.htm