芸どころ・博多に、初めて平成生まれの芸妓(げいぎ)が誕生した。
福岡市出身の本多瞳さん17)。京都の花街も経験した期待の人材だ。
同じ時期に加わった寺田加代子さん(60)とともに、博多では7年ぶりとなる新人。
年の離れた2人は3、4日の「博多どんたく港まつり」で舞台デビューする。
芸妓のけいこ場兼事務所である博多券番を2人が訪れたのは今年2月。
翌月、00年に公募で採用された人たち以来の芸妓になり、見習いの日々を送っている。
本多さんは舞を受け持つ立方(たちかた)、寺田さんは三味線などを担当する
地方(じかた)だ。
本多さんは小学生の時、京都の舞妓を撮ったドキュメンタリー番組をテレビで見て、
「楽しそう。私もなりたい」と心に決めた。
「中学を卒業したら京都へ行きたい」という申し出に父は反対したが、母が
説得してくれて先斗町(ぽんとちょう)で舞妓になった。昨年末に福岡へ戻り、
「いずれは博多の芸妓に」との思いを抱いていたことから券番に出向いた。
踊りの流派は違うが、経験を生かして熱心にけいこに取り組んでいる。
「舞台を見たお客さんが、また博多に来たいと思ってくれるような芸妓になりたい」
寺田さんは佐賀県出身。20代後半に始めた琴と三味線を趣味で続けてきた。
会社勤めをしていた昨年、芸妓たちが出演する「博多をどり」を見て、
「芸事を本格的に仕事としてやってみたい」との思いがわき上がった。
「自信はなかったけど、基礎があるからなんとかなるかな」と、還暦を機に
新たな世界に飛び込んだ。「一流といわれる地方になりたい。体力が続く限り
頑張るつもり」と意気込む。
2人に続く後輩も出てきそうだ。
今月から、福岡市出身の庵原朋子さん(27)も研修生として博多券番に入ってきた。
昨年から三味線を習い始め、のめり込むうちに「長唄に合わせて踊ってみたい。
仕事にできればいいな」と思うように。インターネットで博多の芸妓の世界を知り、
門をたたいた。順調にいけば、8月に芸妓の仲間入りをする。
大正時代には2000人を数えたという博多の芸妓だが、いまは庵原さんまで含めて22人。
芸歴50年以上の奴(やっこ)さん(81)は「張り切ってけいこに励んで、伝統を
しっかりと受け継いでほしい」と期待している。
ソースは
http://www.asahi.com/culture/update/0502/SEB200705020005.html けいこの合間に談笑する3人。左が本多瞳さん、右が寺田加代子さん。
真ん中が庵原朋子さん。
http://www.asahi.com/culture/update/0502/images/SEB200705020008.jpg