宇和島市吉田町のミカン農家が、高級フルーツとして人気のイタリア産ブラッドオレンジの一種、
タロッコの本格栽培に取り組んでいる。ここ数年価格低迷が続いている温州ミカンに代わる
主力産品として2009年春には約10トンの収穫を目指すという。タロッコの本格栽培は国内では
珍しいといい、JA宇和青果の山本義広生産部長は「宇和島産ならイタリア産に鮮度で勝る。
国内の競争相手がいない今こそ、高級果実の市場で先んじたい」と意気込んでいる。
タロッコは、シチリア島で栽培されている品種。直径7センチ前後と小ぶりの玉に、赤みがかった
果肉が詰まっており、濃厚で甘酸っぱい味わいと、香りが特徴。目の疲労回復などに効果がある
とされる色素アントシアニンを多く含む。イタリアから空輸されるタロッコは、首都圏や京阪神の
デパートなどで1個300〜400円で販売されている。
県立果樹試験場南予分場(宇和島市吉田町)は約10年前から、タロッコの遺伝子を温州ミカンに
組み込む研究を続けてきたが、農家から「タロッコを宇和島の産品に育てられないか」との声が
上がり、本格栽培に向けて検討。2005年春から、JA宇和青果と共同で試験栽培に取り組み、
約200戸の農家が約10ヘクタールで約1万5000本を栽培していた。
今月、約200キロを収穫。12日に東京・大田区にあるJA宇和青果東京出張所で試食会を開き、
流通ルートを開拓する考え。
県内の温州ミカンは1996年に1キロあたり349円だったのが、2004年には209円に落ち込むなど
ここ数年価格低迷が続いている。さらに毎年の気温上昇の影響で、実が大振りになって糖度が下がる
などの影響が見られるようになったという。
県立果樹試験場南予分場の高木信雄分場長は「気温上昇の影響で、南予はタロッコ栽培に
打ってつけの環境になった。温州ミカンには難しい環境になりつつある分、『災い転じて福となす』の
姿勢で、タロッコの普及に弾みをつけたい」としている。
YOMIURI ONLINE(読売新聞) 07/04/11
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/ehime/news001.htm ▽画像
赤みがかった果肉が特徴のタロッコ(県立果樹試験場南予分場で)
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