◇キリン55頭の出産に付き添い、朝は餌作りから…
神戸市立王子動物園(神戸市灘区)で、キリンやサイなどの草食動物を約40年間
担当してきた飼育員、安福さん(60)が今月末に定年退職を迎える。同園で産まれた
キリン55頭の出産に付き添った。「毎日、仕事が楽しく、服が汚れても手が汚れても
苦にならなかった。動物たちを我が子のように思っている」と、近づく別れを惜しんでいる。
酪農農家で育ち、高校でも畜産を学び、家畜との付き合いが続いたが、
同園に採用された67年以降、出会った野性動物の飼育は驚きの連続だった。
初めて立ち会ったキリンの出産では足、顔、肩と、産み終わるまでに約3時間かかった。
キリンは脚が長く、産まれたばかりの時は弱いので立った時には脱臼も心配だった。
牛の出産のように手伝いたかったが、キリンは産んだ子に人のにおいが付くと、
初乳を飲ませなくなることもあり、離れて見守るしかなかった。長時間出産に
付き添うため同園に泊まり込むことも多かったという。
餌の確保も70年ごろまで苦労が続いた。当時は人工飼料などがなく、飼育員たちは
餌を求めて、トラックの荷台に乗り込み、神戸市垂水区や芦屋市など各地に出掛けた。
餌が確保しやすくなった80年ごろには、同園内のキリンは最多の12頭になった。
現在、安福さんの朝は、キリンの神平(しんぺい)(雄)やミライ(雌)をはじめ、
カンガルーやシロサイたちの餌作りで始まる。
その後は同園の北園班長として見回りに出掛ける。シロサイ舎の前では「サブロー!、
ナナコ!」と、夫婦のサイの名前を大声で呼ぶ。起き上がり方が遅いと「調子が悪い
のかな」と、日々のちょっとした変化も気がかりという。
安福さんは「引退後の動物たちの様子が心配だけど後輩も育っている。お客さんや
市民から親しまれる動物園にしていってほしい」と話した。
(※一部省略して引用しました。)
MSN毎日インタラクティブ 07/03/09
http://www.mainichi-msn.co.jp/chihou/hyogo/news/20070309ddlk28040036000c.html ▼関連リンク
神戸市立王子動物園 WEBサイト
http://www.ojizoo.jp/