■太鼓センター、2大学と共同
「太鼓を打つと脳が活性化する!?」
和太鼓教室を運営する太鼓センター(京都市下京区)が、関西学院大学、
びわこ成蹊スポーツ大学とそれぞれ共同で行った研究によると、和太鼓を打つことで
脳に酸素を運ぶ酸素化ヘモグロビンの増加など脳機能が活性化する可能性が
明らかになった。今後さらに踏み込んだ研究を行い太鼓と脳活動の関係の
解明に取り組む方針だ。
関西学院大学と太鼓センターの共同研究は、70〜80代の高齢者と20代学生を対象に、
本物の和太鼓と太鼓ゲームを打った際の大脳皮質の血流変化を測定。
本物を打つと酸素を運搬する役割の酸素化ヘモグロビンが脳の側頭葉で大幅に増加し、
脳活動が高まることを確認した。前頭前野は、グループ演奏の掛け合いで顕著な活性化を
確認、被験者の年齢により活性化の状況が異なることも分かった。
今回の結果が疾病予防などに結びつくかは今後の研究次第だが、「実際に和太鼓をたたいて
脳活動を測定した例は少なく、特に高齢者対象の実験はほとんどなかった」(太鼓センターの
倉持武夫・新規事業研究開発部長)だけに、研究の成果が注目される。
一方、イチロー選手などのメンタル指導も行ったびわこ成蹊スポーツ大学の豊田一成教授は、
和太鼓の音やリズム、打つときの姿勢や動きなどがメンタルに与える影響を研究。
「リラックスする癒やし効果と、元気になる活性効果の両方がある」との仮説を立て、
ゼミの学生を対象に、1時間の和太鼓練習の前後で脳波測定やストレス調査を実施した。
「謎だった和太鼓の効果が解明され始めた。実験結果には期待がもてる」(豊田教授)とし、
分析中の解析結果を2月末にも発表する予定だ。
これらの研究成果を背景に、太鼓センターは4月3日開店する
「TAIKO−LAB(太鼓ラボ)青山」で、和太鼓とエアロビクスを融合した「TAIKOビクス」を
始める。フィットネス大手と協力し、フィットネスコーディネーターの中尾和子さん監修で
プラグラムを開発。和太鼓の癒やしや活性効果に、エアロビクスのステップを取り入れた
高い運動効果を目指す。
太鼓センターでは「力いっぱいたたいたり、大声や大きな音を出す“非日常”を体感することが
ストレス発散に直結する」(志水一智東京支社長)と分析。グループ演奏による一体感や、
演奏がそろったときの達成感なども、メンタルに良い影響を与えるとみている。
伝統的な和太鼓演奏とは異なるTAIKOビクスだが、「会社帰りに気軽に和太鼓をやりたい」
「和太鼓でストレスを解消したい」という最近の和太鼓ブームに加え、脳活性化効果が
実証されれば、新しいフィットネスとして人気を集めそうだ。
FujiSankei Business i. 07/02/19
http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200702190002a.nwc