戦後初めて日本にやってきたゾウで、今年60歳の還暦を迎えたはな子に贈る
27通のメッセージが、現在、はな子のすみかとなっている井の頭自然文化園
(武蔵野市御殿山1)に展示されている。昨年、はな子の元飼育員が著して
話題を呼んだ「父が愛したゾウのはな子」の版元に寄せられた読者の声を
集めたもので、歌手の伊東ゆかりさんや小説家の志茂田景樹さんら著名人からの
手書きメッセージも。どの言葉にも、はな子への愛情と、長寿を願う気持ちが
あふれている。
はな子は1949年9月、来日。その半生は波乱万丈だった。来日当時は熱狂的に
迎えられたものの、上野動物園から同文化園に移った54年以降、2回も人を
踏み殺す事故を起こす。事故後は、4本の足を鎖で縛られてゾウ舎に閉じこめられ、
ストレスからやせ細った。
「父が愛したゾウのはな子」は、2回目の事故直後に、はな子の飼育員を
務めた山川清蔵さん(故人)の息子で、自身もはな子の飼育員だった宏治さんが
著した。人間不信に陥っていたはな子が、徐々に清蔵さんに心を開いていく
様子などが描かれている。
版元の現代書林(新宿区)が、本にはさんだ愛読者カードにはな子への応援
メッセージを書く欄を設けたところ、昨年暮れまでに多くの返信があったため、
今回のメッセージ展を企画した。
児童書「はな子、ありがとう」の著書もある志茂田さんは、「子どもだった
ぼくに、あなたはいつも大きな夢を描くことと生きることのすばらしさを
教えてくれました」と感謝の言葉をつづり、「私と同い年のはな子さん、
長生きしましょうね」と呼びかける伊東さんは、「子供の頃(ころ)は
よく行列して見に行ったものです。つい先日もみに行きましたヨ!」と
したためた。
子どもの読者からは「ぼくが飼育係になるまで長生きしてね」とのメッセージも。
幼いころからずっとはな子を見続けているという読者は「いつもやさしい
大らかなはなこさんがいてくれてホッとしています。はなこさんの事はいつも
心のどこかにあるよ。またはなちゃんに会いにいくの楽しみにしています」
と語りかけた。
同社の担当者は「はな子というゾウがみんなの心の中で、ずっと生きていて、
みんなの生きる糧になっている特別なゾウなんだと実感した。みんなの思いが
はな子に届けば」と話している。展示は2月28日まで。
ソースは
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/news001.htm 人気者のはな子
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/img/news001_1.jpg