世界最大級の服飾見本市として知られるフランスの「プレタポルテ・パリ」。その二月一日から
始まる展示会に「SHIBUYA(シブヤ)」と命名されたエリアが登場する。日本の少女たちの
パワーに触発された主催者が、若者ファッションの新しい様式として、名を借りた。今回は
渋谷ファッションの総本山「ウラハラ(裏原宿)」のメーカーも初出展し、本家の魅力を披露する。
同見本市は年二回開催され、「シブヤ」エリアは、昨年九月の展示で初登場した。主に十五−
二十五歳の女性をターゲットにしており、欧州を中心に、約五十社の前衛ブランドが集結。
日本からは着せ替え人形のメーカー一社が参加した。
展示が反響を呼んだことから、今回の展示では「シブヤ」が、全十一エリアの中で「目玉」の
一つとなった。日本からの出展も五社に増加。うち二社は、東京・原宿の裏通りに拠点を置く
「ウラハラ」メーカーだ。
企画グループの「モグラ」もその一つ。「モグラ+カモンデザイン+テンガ」と名付けた新ブランドを
披露する。作業着や長袖Tシャツに、家紋をモチーフにしたデザインをあしらった。出展を機会に、
世界展開の足がかりにしたいという。
デザイン担当の清田直博さん(29)は「フランスでは独自の解釈で日本が表現されているが、
そろそろ日本人が“本物”を見せねば。ものすごい速度で変化し続ける渋谷のエネルギーを
感じてほしい」と意欲を見せる。
マンガやアニメ、ゲームなど日本文化に関心の高いフランスでは、十年ほど前から「シブイエット」
という言葉が使われている。顔を黒く焼き髪を脱色した「ガングロ」が紹介されたことをきっかけに、
日本独特の派手な「ギャル系」ファッションに身を包んだ少女のことを、そう呼ぶようになったという。
プレタポルテ・パリ日本事務局の西村佳子さんは「フランスの関係者に聞くと、シブイエットは
服飾関係者だけでなく一般にも広く浸透しているという。まさか『シブヤエリア』ができるとは思わな
かったが、多感で常に面白いことを探している年代にアピールするキーワードとして着想したの
だろう」と話す。
<メモ>プレタポルテ・パリ 米国生まれのプレタポルテ(高級既製服)が、注文服中心だった
仏に根付き始めた1956年、第1回を開催。初回から前衛性がテーマとされ、人種差別に挑戦
するため黒人モデルを起用したショーで話題を集めた。パリのポルト・ド・ベルサイユ見本市会場で、
2月と9月に開かれる。6万平方メートルの会場に、50カ国・1500ブランドが集まり、世界から
4万人以上のバイヤーが訪れる。今回の会期は2月1−4日。
東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/00/sya/20070131/eve_____sya_____001.shtml