みなべ町清川の梅加工会社と梅農家が、剪定(せんてい)した梅の枝を全国に贈っている。
たくさんのつぼみが付いており、暖かい部屋なら10日ほどで花が咲く。受け取った人からも
「春を分けてもらってうれしい」などと好評だ。
中心になっているのは、梅加工会社「紀州薬師梅」。
1995年に起こった阪神大震災で、被災者を元気づけようと神戸市の病院に贈ったことが始まり。
今では、北海道から沖縄県までの顧客やデパート、病院、鉄道会社、宿泊施設などに
計1万束ほどを無償で配っている。同社の赤松宗典代表が県外に出掛ける際に持って行き、
知り合った人などに手渡すこともある。
梅は「百花の先駆け」と言われ、最も早く春を感じられて香りも良いため喜ばれている。
赤松代表は「花と実どちらも楽しんでもらう文化をつくっていけば、後生に実を結ぶはず。
産地に広げていきたい」という。
枝は、地元の農家6戸から買い取っている。また、それぞれの顧客に贈る農家もある。
寺谷崇さん(57)は、息子のゆうじさん(26)とともに枝を束ねている。
作業は11月から始まるが、つぼみが十分ふくらんだ12月末ごろからの剪定枝を贈答用にする。
良い枝が取れるように、作業を遅らせることもある。
長さ50センチほどに切りそろえ、5〜6本をゴムで束ねる。真っ直ぐ伸びた1年生の枝や、
変化に富んだ数年生の枝をバランスよく組み合わせる。今年は2000束ほどを作る予定。
寺谷さん親子は「手間はかかるが、捨てている物を使って都会の人に喜んでもらい、梅の
宣伝にもつながれば」と話している。
AGARA紀伊民報
http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=117977 画像:剪定した枝を束ねる梅農家
http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/newsphoto/1179771.jpg