イノシシ肉の有効利用と狩猟者の意欲向上の両立を目指し、鳥取県庁第二庁舎の
県庁食堂でイノシシ料理を出す計画が進んでいる。第一弾は「猪カレー」(仮称)で、
二月ごろの発売を予定している。イノシシ特有のくさみが少ない料理で利用客の
反応をみながら、野性味の強さと濃厚な味を生かした料理を順次出し、イノシシ肉の
魅力を発信する考え。イノシシ料理が鳥取の新名物となる可能性も秘めており、
各界の関係者からの期待も高まっている。
イノシシ肉は脂を蓄えた冬場のロース肉が高級食材として都市部の
デパートなどで流通する半面、独特のにおいと肉の硬さが際立つ他の部位は
人気がないため流通量も少ない。
農業被害増加を懸念する県生産振興課は、イノシシ肉が有効活用されていない現状に着目。
同食堂にイノシシ料理を出すよう提案すると同時に、肉の仕入れ先として鳥取市鹿野町の
狩猟団体を紹介した。それにより、同団体が食肉処理をしてこれまで販売していなかった
ロース以外の部位を安価で同食堂に卸すことが可能になった。
同食堂では誰でも受け入れられる味をコンセプトにメニューを検討。
煮込むことで肉が軟らかくなり、獣くささを感じにくいカレーを最初のメニューに決めた。
現在はイノシシ肉の加工方法の研究とともに、エスビー食品と連携して
イノシシ肉に合ったカレー粉の調合を進めている。
カレーやラーメンなど、においが気にならない料理で利用客の抵抗感を徐々に取り除いて
イノシシ肉ファンを増やし、みそ焼きやバルサミコ酢煮込みなどイノシシ本来の味を生かした
料理を順次投入する計画を進める。ハトやシカなど野生料理のレシピを参考にしながら、
新メニューの研究にも余念がない。
同食堂の中沢寿秀社長は「県外産との競争が激しい他の食肉と比べ、イノシシは
地産地消の一品になりやすい。ワンコインで普段食べられるメニューを考えたい」
と話している。
新日本海新聞社 07/01/09
http://www.nnn.co.jp/news/070109/20070109007.html 画像:盛り付けられたイノシシ肉。市街地で気軽に料理を楽しめる日も近い(鳥取県提供)
http://www.nnn.co.jp/news/070109/images/0109193.jpg