化粧を通じてお年寄りを元気づけようという学生たちの取り組みが広がりをみせている。
県立大学(滝沢村)から誕生した学生ボランティアサークル「KIPU Labo(キプラボ)」。
毎月、県内の高齢者施設を訪れ、化粧やマッサージをしながらお年寄りとの会話を
楽しんだりする。「化粧を通じてお年寄りの方々が自信を持ち、いきいきとした生活を楽しむ
きっかけになってほしい」。こんな思いが活動の原点になっている。
「おばあちゃん、若い頃はどんなことがはやっていたの?」
「若いのに、マッサージが上手ね」
今月1日、盛岡市上田のデイケア施設「アイリスケアセンター上田」であった化粧ボランティア活動。
年齢差は30〜40歳もあるが、化粧やマッサージをしながらだと会話も自然と弾む。
キプラボは、県立大社会福祉学部の学生が主体となり、05年5月に発足した。
卒業生の一人が卒業研究で化粧ボランティアの活動マニュアルを作成。
「個人レベルの取り組みで終わらせてはもったいない」
と、後輩たちが組織化した。メンバーはいま36人。すべて女性だ。
施設を訪問すると、メンバーは手鏡を片手にお年寄りに化粧をしたり、話しかけたりしながら
ハンドマッサージをする。
サービスを受けた人たちからは
「若い人と触れあうと気持ちが若返ります」
「化粧をすると外出したくなります」
などの声があふれ、会場はにぎやかな雰囲気に包まれる。
ボランティアだから、訪問先選びや交通費、化粧品購入費も原則として自分たちで負担。
訪問先は、要望のあったところを中心に、顧問の同学部福祉経営学科の宮城好郎・助教授や
学生の人脈をたどって開拓するなど、すべて学生の手づくりによる活動だ。
技能を上げるための勉強会も欠かさない。
キプラボ代表の長嶺葉名さん(4年)は
「化粧をした後、お年寄りの表情がいきいきし、『外出する気になった』などと聞くとすごくうれしい。
こうした活動がこれからも長く続いてほしい」と話す。
キプラボのユニークな活動について知りたいと、北海道や九州などの大学から問い合わせが
相次いでおり、年代の垣根を超えた新たなふれ合いの形として注目されている。
asahi.comマイタウン岩手
http://mytown.asahi.com/iwate/news.php?k_id=03000000611280001 画像:久しぶりの化粧で「若返ったみたい」と笑顔を見せる高齢者たち。学生との会話も自然と生まれるという
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