世界的に知られるウサギの絵本「ピーターラビット」の原作者の半生を描いた映画が
公開予定となったのをきっかけに、絵本の舞台となった英中部の湖水地方で、
ピーターラビットに特に愛着を持つとされる日本からの観光客が大幅に増加するとの
期待が膨らんでいる。
「日本人の殺到に備えるピーターラビットの里」。
英紙サンデー・テレグラフは、日本語でのあいさつとおじぎや、日本人が好む
土産品の包装などを取り入れることを一部の観光施設が検討し始めた湖水地方の
“日本熱”の高まりを報じた。
カンブリア州にある湖水地方は水と緑が調和した美しい自然で知られ、
原作者の英女性絵本作家ビアトリクス・ポター(1866−1943)が幼少時代の
休日の多くを過ごし、後に移り住んだ。ポターは同地方の美しい風景に影響を受けて、
ピーターラビットをはじめとする多くの物語を残したという。
映画「ミス・ポター」(原題)では、女性差別が激しかった英国で自立や愛などに悩みながらも
作家として成功するポターを、人気女優レニー・ゼルウィガーが演じる。
湖水地方には、ポターの家「ヒルトップ」、ポターの物語のシーンなどが再現された観光施設
「ビアトリクス・ポターの世界」など、ポターゆかりの場所が残り、映画のロケも行われた。
これまでも日本人観光客は多く、官民で日本人誘致を進める
「英国湖水地方ジャパンフォーラム」などが活発に活動。
同地方全体の日本への売り込みにも力を入れる。
「湖水地方には、ほかにもたくさん見るところがあります」。同地方で八百年以上の歴史の
古城を持つピーター・フロストペニントンさんは、大量の定年退職者が出る団塊の世代などの
訪問に期待し、簡単な日本語を勉強している。
フロストペニントンさんは5月に観光施設の代表らと東京などを訪問。
古城の案内に日本語を取り入れたり、日本人の訪問を見越して城内で
アフタヌーンティーなどの提供も考えている。
日本人観光客向けに各種ツアーを催す英国の旅行会社も来年、湖水地方向けのツアーを
拡充することを検討している。
湖水地方で、ポターに関係する観光施設で働く男性は「日本では、ピーターラビットは
クレジットカードに印刷されるほど有名なんだ」と“ミス・ポター効果”への期待を隠さなかった。
(共同)
SANSPO.COM 06/11/27
http://www.sanspo.com/sokuho/1127sokuho056.html