美白、美肌、保湿効果、アンチエイジング(抗加齢)など、さまざまなうたい文句で売り込みに
しのぎを削る化粧品各社。コエンザイムQ10など配合成分の効果をアピールしあう一方で、
微細粒子の噴霧や電流を使った新タイプの“ハイテク化粧品”が相次いで登場し話題になっている。
■3人に1人購入
「風を感じているだけだが、自然に仕上がり、つやが出るのはうれしい」
東京・銀座の銀座三越にあるマックスファクター「SK-II」コーナー。9月21日に発売した「SK-II
エアータッチファンデーション」を試した東京・世田谷の女性会社員(29)は、その効果を実感したようだ。
SK-IIビューティカウンセラーの村上明子さんは、「10代から80代までユーザー層は幅広い。
1回体験すると、3人に1人は購入する」と手応えを感じている。
通常のファンデーションは、スポンジなどで塗るが、エアータッチファンデーションは、「赤ちゃんの肌の角質と
ほぼ同じ大きさの微細なサイズのファンデーション粒子を細かいエアーにして、均一に肌に塗布できる」と、
マックスファクター神戸テクニカルセンターの松原郁さんは、独自の技術を説明する。
2002年に発売した初代エアータッチファンデーションをさらに改良。「初期設定やスイッチのオン・オフの
切り替え作業をすべてコンパクト中央にあるボタンのみで操作できるようにした」と、使いやすさが大幅にアップ。
1994年の商品開発開始から実に12年かかった。
「ファンデーションの粒子は、髪の毛や衣服よりも多くの水分を含む肌に引き寄せられる性質を持たせた」ことで、
顔から10センチほど離して、一押しするだけで、服を汚すことなく顔にのみ、ムラのない仕上がりが期待できる。
■9割がしわ改善
「世界市場での発売をふまえて生産コストを抑えた」ことで、価格は初代の約半分に。コンパクト1個、リフィル
1個のセットが9975円と1万円を切った。
「大事なプレゼンテーションやデート前に目元のしわを改善できるだけでなく、目力のアップが実感できるため、
日頃多忙な男性の購入者も多い」(谷口秀明・エスティローダー取締役技術本部長)。
そんな人気商品となっているのは、エスティローダーが今年5月に発売した「パーフェクショニスト パワーパッチ」だ。
化粧品として初めて、薄型で肌にフィットするフィルム状の電池を内蔵。肌に張った瞬間から、30マイクロ
(1マイクロは100万分の1)アンペアという微弱電流が流れることで、保湿に有効な独自開発の水「バイオロジカル
ウォーター」の浸透を促される。
同時に、肌の角質層内の水分にも対流が生まれ、目元の水分を約20分で増加させる仕組みだ。
「調査では、1回の使用で、88%の人が見た目のしわの改善を実感した」としている。
この商品の中核となる薄型電池を開発したイスラエルのハイテク機器メーカー、パワーペーパーがエスティローダーに
売り込み、開発がスタートしたのは2004年の春。ただ、「化粧品に電池を用いる、という前例のない取り組みで、
医療器具と化粧品のどちらに属するか厚生労働省と折衝を重ねる一方で、どういった効果を持たせるかなど、
苦労の連続でした」(同)と振り返る。
最終的に、保湿効果を持たせることに的を絞り、約2年で商品化に至った。8セットで1万5750円と価格は高めだが、
「美容に関心の高い方がすでにリピート購入している」こともあり、ロングセラーを期待している。
東レはが4月に発売した同社初のコスメ商品となる「エプリゥム ロングラッシュマスカラ」も、「有名バラエティーストアでは
売り上げの上位にランキングされている」(広報室・海老原直子さん)と好調だ。
こちらは、一般的なマスカラで使われる繊維の断面積比で10分の1という東レが開発した極細繊維を採用。
しかも断面が星形で、「まつ毛一本一本をすっきりと長く見せられ、重ね塗りしてもダマになりにくい自然な仕上がりを
実現した」(同)という。
利便性の向上だけでなく、その仕上がり満足度や効果を実感できるという声が高まりつつあるハイテク化粧品。
今後も独創的な技術を生かした新商品が続々と登場しそうだ。
ニュースソース
http://www.business-i.jp/news/sou-page/news/200611120009a.nwc