●創部3年で快挙「粗削りでも魂響け」
愛知高校(名古屋市千種区光が丘2丁目)のグリークラブが、28日にさいたま市で
開かれる第59回全日本合唱コンクール(全日本合唱連盟、朝日新聞社主催)全国
大会に中部代表として初出場する。03年の創部から3年での快挙。出場メンバーの
男子部員29人は「男臭い男声合唱の魅力を伝えたい」と意気込んでいる。(岡本洋太郎)
03年4月、愛知高校に新任で来た吉田教諭(28)には、目標や夢を持てず目に
輝きのない生徒がいるように思えた。「合唱でいつか日本一にしてみせる」。負けん気の
強い吉田教諭は、4人の部員とグリークラブを始めた。当初は、吉田教諭の熱血指導に
部員たちがついて行けず、退部者も続出。互いの思いがすれ違うばかりだった。
04年、初めて挑んだ県大会は銅賞。いざ舞台に上がると、部員たちの声が出なかった。
「練習に裏打ちされた自信がなく、本番でこわくなった」(吉田教諭)結果だった。部員たちと
泣き、悔しさを分かち合って再出発を誓った。
週末も朝から夜まで練習を重ねた。運動部顔負けの筋力トレーニングや体力づくりにも
力を注ぐ一方、著名なオペラ歌手や合唱指導者を招き、音楽に取り組む意識を高めて
いった。昨年は県大会で銀賞だったが、今年、7県で3校の代表枠に入り、学校創立
130周年の節目に花を添えた。
出場メンバー中、中学での合唱経験者は1人。吉田教諭は「技術的には欠点はあるが、
厳しい練習にも耐える精神力はついた。音楽への情熱も引けを取らない」と胸を張る。
部長の米田健彦君(18)も「粗削りでも魂を感じられる音楽性を目指したい」と話す。
全国大会の常連で男声合唱の代表格、大阪・淀川工業高校が部員たちのあこがれ。
自由曲で挑む男声合唱とピアノのための組曲「しゅうりりえんえん」も、かつて同校が
歌って広く知られるようになった曲だ。「水俣病で死に行く人々の魂の叫びをどこまで
表現できるか。祈りがテーマの課題曲『アヴェ・マリア』の柔らかな音色との落差を
印象づけたい」と吉田教諭は言う。
長く男子校だったが、昨年、共学校に。グリークラブにも女子部員20人が加わり、
今年は女声で県大会にも出場した。男女を統合して混声で編成する日も遠くなさそう
だが、「この仲間で男声合唱の底力を見せたい」と大舞台に挑む。
asahi.com:asahi.com:男声29人 全国に挑む 全日本合唱コン - マイタウン愛知
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