ホームレスのサッカーW杯、ロシアが優勝
世界各国のホームレスが自国の代表選手となって参加するサッカーの
ワールドカップは9月30日、南アフリカのケープタウンで決勝があり、
ロシアが1─0でカザフスタンを下して、優勝した。
ホームレスのワールドカップは、世界各国のホームレスを支援することを
目的に、各国の様々な支援団体や企業が後援。2003年にオーストリアで
初めて開催されて以来、今年で4回目を迎えた。
ルールは通常のサッカーと異なり、テニスコートほどの大きさのフィールドで
行い、1チーム4人制の7分ハーフとなっている。
今年は世界48カ国から約500人が参加。先月24日の開会式には南アフリカの
ムベキ大統領も出席したほか、イングランドの強豪クラブ、マンチェスター・ユナイ
テッドの関係者が、各国代表選手のトレーニングに協力した。
オーストリアから参加したヨハネス・クラサさん(34)は、「展開がとても早くて、
点はどんどん入るし、とてもおもしろい」と試合の様子を語った。また、「僕は
ホームレスで何も持っていないけれど、アフリカの状況に比べれば、僕は
リッチだとわかった。彼らは本当に何も持っていないんだ。どうやって暮らして
いるのか、見当がつかない」と、ワールドカップに参加するため南アフリカを
訪れて、多くのことを学んだと話している。
試合では、ホームレス・ワールドカップの世界ランキングで9位のイングランド
代表が、予選で初出場のカザフスタンに3─5で敗れる波乱があった。
サッカーが盛んなイングランドを代表する若者中心のチームに対して、カザフ
スタンは平均年齢が30歳を超える、お腹が出たおじさんチーム。敗れたイング
ランドのトニー・ピーコックさん(18)は、「僕たちはみんな若くて、カザフスタンの
メンバーを見たら勝てると思ったんだけど、向こうはボールの扱い方をよく知って
いた」と、チームの力を過信しすぎたと話している。
ホームレス・ワールドカップ主催者のひとり、メル・ヤングさんは、大会を通じて
ホームレスの人々に、心理的な変化を起こしたいと語る。
「ホームレスの人々は自尊心がなく、自発性に欠けることが多い」として、大会に
出場することで、参加者に人生の目的を持たせ、薬物やアルコールを絶ちきり、
安定した生活のきっかけになることを目指しているという。
実際、過去の大会参加者は仕事を得るなど、生活が変化している。昨年のスコット
ランド大会出場者のうち80%が、「生活が向上した」と回答。ヤングさんは、多くの
参加者が「薬物と手を切って住む場所を決め、訓練を受けて仕事についた」と
話している。
ソース:
http://www.cnn.co.jp/sports/CNN200610010026.html