いつの時代も、子どもにとって、おもちゃ売り場は夢のような空間。そこでは今、
子どもの知性や感性を高める「知育玩具」が人気を集め、模型や往年の人気ゲーム
目当てに大人たちが足を運ぶ。
数字やひらがなを書いた積み木、多角形の板を組み合わせるパズル。そごう心斎橋
本店9階のおもちゃ売り場に足を踏み入れると、棚に並んだ300種類近い知育玩具
に目を奪われる。母子で玩具に触れて遊べる一角もあり、幼稚園児の息子2人をパ
ズルで遊ばせていた神戸市内の主婦は「頭の柔らかいうちに、遊びを通して発想力
を育てたい」と話す。
旧大阪店当時、売り場には大量に仕入れた売れ筋商品があふれていたが、昨年の再
オープンの際、売り場を約80平方メートルに半減させた。キャラクター商品の
種類を絞る一方、スペースの4分の1を割き、シンプルでおしゃれな知育玩具を
大きめの棚にゆったりと陳列した。「お母さんたちが落ち着いた雰囲気の中で子ども
のことを考え、商品を選べる空間を心がけている」。売り場担当の森川さん(30)
は説明する。
少子化の影響で、玩具市場は縮小しつつある。巨大な売り場と大量の品ぞろえを誇る
郊外型スーパーや量販店の進出も、百貨店には脅威だ。だが、少なくなった子どもに
寄せる親や祖父母の期待は高まるばかり。知育玩具は、そうした顧客の関心を引き
つけるのに有効なようだ。「海外製や木製の知育玩具は高級感があり、百貨店のイメ
ージとマッチして競合店との差別化が図れる」(同店販売促進部)。
少子化に伴い、大人をターゲットにしたおもちゃも増えている。阪神百貨店の売り
場には、懐かしい「人生ゲーム」や野球盤などが並び、20代後半以上の男性の郷愁
を誘う。〈脳を鍛える〉をキーワードにした携帯型電子ゲーム、会話ができるロボット
人形など中高年世代に人気の約80種類の品がそろっている。
阪急梅田本店で1960年から続く鉄道模型コーナーには最近、40〜50歳代の男性
客の姿が目立つ。一度に20万〜30万円分をまとめ買いするファンもいるという。
高島屋大阪店でも、玩具売り場は縮小する傾向にあるが、老舗の木製帆船模型売り場の
人気は根強い。「おもちゃは子どものもの」。そんな固定観念を捨て、多様化した売り
場をのぞいてみてはどうだろう。
http://osaka.yomiuri.co.jp/depa/de60908a.htm ●画像:
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