「本当においしいコーヒーは、農園から口に入るまで、一つの失敗もない」―。
世界30か国から輸入してきた原料のコーヒー豆を、常に安全で高い品質に保つ
ことを心がける。社内に15人いるブラジルの認定資格者「クラシフィカドール」
(コーヒー鑑定士)のリーダー的存在だ。
神戸市のUCC六甲アイランド工場品質検査室で、輸入したコーヒー豆が契約内容
に合っているか厳しく検査する。最も大切なのが、「味」や「香り」の判断だ。
焙煎(ばいせん)した豆をひき、カップにお湯を注ぎ、「ヒュッ」という笛のような
音とともに口に含む。「コーヒーを霧状にして、勢いよく口の中いっぱいに吹き付け
ないと鼻の奥まで届きません」と笑う。
入社のきっかけは、東京農大の学生当時、1年間過ごしたブラジルのコーヒー農園で
の研修体験だ。「気候や標高などで、味や香りが大きく違う不思議さに感動した」
入社後の83年には、鑑定士資格を取得するため、ブラジルに。「当時は国家資格で、
ポルトガル語を学び、テースティングなどの実習に追われる日々」を送り、商取引の
知識も深めた。90年代に現地法人の社長になるなど、最大の生産国との縁は深い。
国際環境保護団体が認める製品も販売するが、「コーヒーは嗜好(しこう)品。
平和だからこそ楽しめ、地球環境などを考えることにもつながります」。
(2006年7月11日 読売新聞)
http://job.yomiuri.co.jp/corporate/tatsujin/co_ta_06071101.cfm