1種類の果物をテーマにした洋菓子店やカフェが人気を集めている。マンゴーや
イチゴ、アンズなど。品種へのこだわりや産地の特色などを楽しく紹介しながら、
その魅力を消費者にアピールしている。
東京・銀座の百貨店「プランタン銀座」に5月開店した洋菓子店「マンゴーズ」
では、スリランカ産完熟マンゴーを使ったプリン(341円)やタルト(315円)、
ジュース(420円)などを味わえる。同店のマンゴーは現地で実が完熟してから
採取し、瓶詰めにしたもので「濃厚で自然な甘味が自慢」という。
店内のテーブルには、産地の様子を伝えるパンフレットや写真も置かれている。同店
店長の谷沙織さんは「デザートは、味以外に産地情報などの付加価値がないと売れに
くくなっています。店員がマンゴーの特徴などを説明すると、お客さまとの間でデザ
ート談議が弾むこともあります」と話す。同店は10月2日まで期間限定で営業している。
シュークリーム店を展開する「洋菓子のヒロタ」(兵庫)は東京・丸の内のオフィス街に、
イチゴ専門の「サムシング・ルージュ」を開いている。旬に合わせて、イチゴの品種や
メニューを変えている。この夏の“主役”は、徳島県産の夏品種「サマールビー」。
しゃきっとした食感と野性味が特徴のゼリー(400円、8月末まで)が人気という。
広報担当の阪本千尋さんは「イチゴ一つとってみても、いろいろな品種があることに
お客様は驚かれます。都市生活者に全国のイチゴの魅力を伝えるアンテナショップと
しての役割も果たしたい」と話す。
一流シェフが考案したタルトやババロアなどのアンズデザートを出す「杏露酒スイー
ツカフェ」は7月21日まで、東京・大手町で開店している。杏露酒はアンズの果実
を蒸留酒に漬け込んだ果実酒で、キリンビール(東京)がアンズのおいしさを伝える
ためカフェを企画した。昼食時にはアンズカレーなどもある。
果物に詳しい「日本ベジタブル&フルーツマイスター協会」(東京)の篠田彩子さん
は「1種類に絞った方が、その果物への店のこだわりが感じられる。品種や産地を
大切にする最近の消費者の志向に合致したのが、人気の理由では」と話している。
(2006年7月3日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/komachi/news/mixnews/20060703ok01.htm