緑道や公園に植えられている街路樹「ヤマモモ」の実を収穫して食べよう、
というイベントが江戸川区清新町で2日、開かれた。ヤマモモは、枝や葉の
形ぶりが美しい反面、例年この季節に赤い実を大量に落とし、人が踏んで道路
を汚すことから、住民や行政にとっては“悩みのタネ”にもなっている。
「多くの人に収穫してもらえれば掃除の手間も省ける」と区内のボランティア
団体が初めて企画した。
区保全課によると、区内にはヤマモモの木が公園や道路脇などに約2000本
植えられ、そのうち約600本のメスの木が実をつける。「苗を買った時点では、
オスかメスかの判別は難しく、メスとわかるのは実がなってから」(同課)で、
メスの木が毎年6月から7月にかけて大量の実を落とすため、人の足でつぶされ
グチャグチャになった道路を区職員らが掃除に回るのがこの季節の恒例になって
いる。実が食べられると知っている人も多くない。そこで、区内の街路樹の枝切
りやゴミ掃除などを続けている「木の実会」の織茂伸之会長(78)が、「収穫
会を開けば、地元の交流の機会にもなるし、実も有効に消費できるのでは」と区
に提案し、区も全面協力して今回のイベントが実現することになった。
この日は、約30人の家族連れが参加。木の下にシートを広げ、高枝切りばさみで
枝をつかんで思いきり揺らすと、まるで突然の夕立のように、「バラバラバラ……」
と直径2〜3センチの赤い実が音をたてて絶え間なく落ち続け、10分ほどでポリ袋
5袋分の実が収穫できた。
その後、参加者たちは、実を水洗いし、塩をつけて試食。参加した大西君(8)は
「家の近くに植わっている木の実が食べられるなんてうれしい。大きい実の方が甘いね」
と笑顔でほおばっていた。試食会では、梅酒のようにヤマモモを酒に漬ける方法や、
ジャムの作り方を書いた紙も参加者に配られた。織茂会長は「収穫会は大成功。今後
こうしたやり方が各地に広まるかも」と興奮気味に話す。同課は「街路樹の実は、区の
所有物だが、常識の範囲内であれば収穫してもらっても構わない。ただ、収穫の際に
落ちた実は、最後に片づけて」と話していた。
(2006年7月3日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/tokyo23/news001.htm