血糖値を抑える効果がある桑の葉を使った菓子作りに、県菓子工業組合が
本格的に乗り出すことになった。今月末にも2トンの葉を粉末にして加盟
638社中30社に配り、ささ団子やケーキ、まんじゅうの材料にする。
養蚕の衰退で荒れ始めた桑畑の再生にも期待がかかっており、同組合は
「地域の特徴を生かした製品開発を」と意気込んでいる。
カイコのエサとして知られる桑葉だが、産地では古くから茶のように飲まれ、
せきや高血圧、糖尿病に効くと言われてきた。これに注目した同組合は、
桑葉の粉末化に成功した県食品研究センターと、その技術を使って桑抹茶を
開発した「たいまつ食品」(五泉市)などと共同で、和菓子に練り込んでも
桑の薬効が保たれるかどうか研究した。
米粉に桑葉粉末を加えた生地を蒸し、冷凍乾燥させて調べたところ、糖質の
吸収を抑える「デオキシノジリマイシン」や、動脈硬化などを防ぐ抗酸化
作用が注目される「ポリフェノール」に変化はほとんどなく、団子にしても
効能があることが確認できた。
同組合はこの研究結果を今年3月、仙台市で開かれた日本薬学会で発表。
5月の組合会合では、生活習慣病の予防に役立つ機能性食品の開発に力を
入れていく方針を打ち出した。昨年も試験的に桑の粉末を作り、加盟社の
中には、すでに「桑葉もち」の販売を始めたところもある。同組合の当野
専務理事は「葉っぱのにおいが何となく漂い、森林浴のような感じ」と評価する。
しかし、昨年は刈り取りから粉末化までに時間がかかり、鮮やかな深緑の色は
出せなかった。今年は「日の出前に収穫し、保冷車で運ぶつもり」と万全を
期す構えだ。桑を供給するのは、県内一の養蚕地・朝日村。JAにいがた岩船に
よると、台帳上は村内に16ヘクタールの桑畑があるが、中国の安い生糸に押さ
れて養蚕は衰退し、実際はその4分の1に過ぎない。残りは雑草が生えたまま
放置されている所が多い。
「地元では昔から桑の葉のてんぷらを食べてきた」という同JAの横井公英・
担い手支援室監理役は、「桑は切れば切るほど元気になる。食用の用途が増え
るのは産地としてありがたい」と話している。
(2006年6月27日 読売新聞)※リンク切れの場合はご了承下さい。
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