ペットボトル入りのミネラルウオーターが全盛の時代。蛇口から水道水を直接飲む人は
減っている。そんな中で、かつては「まずい水」の代名詞だった東京の水道水が、実は
「水源がきれいな地方の水道水と比べて遜色(そんしょく)ない」と専門家が太鼓判を押す
ほど改善されている。
「本当はおいしいんです」と、都は水道水の復権を目指してPRに力を入れる。
JR東京駅の地下にある「東京みやげセンター」。大手飲料メーカーの水に交じって、
都水道局が売り出すペットボトル「東京水(すい)」も並ぶ。500ミリリットルで100円。
ほかと比べて10〜40円ほど割安だ。
金町浄水場(葛飾区)で処理した水をパックしている。
「もの珍しさもあるのか、かなり売れます」と店員の小泉行男さん(58)。
都水道局が「安全でおいしい水プロジェクト」と銘打ったキャンペーンを始めたのは04年。
以来、17万本の「東京水」を生産した。イベントで無料で配ったところ評判が良かったため、
東京駅や上野動物園などで売り出すようになった。このうち販売したのは2万4千本ほど。
「あくまで水道水を飲んでもらうためのPR用です」
東京の水はかつて本当にまずかった。70年代まで、金町浄水場から足立区や葛飾区など
都東部に供給された水には「カビくさい」「濁っている」などの苦情が相次いだ。
利根川や荒川への下水処理整備が遅れ、浄化が追いついていなかった。
都は92年、金町浄水場に、オゾンや活性炭を使って微生物などを取り除く「高度浄水処理
装置」を導入。埼玉県にある三郷、朝霞の両浄水場にも設置し、「においの原因となる成分を
国の基準より厳しいレベルで抑えている」としている。
都内で利根川・荒川水系からの水が届く地域では、板橋区と北区の一部を除くほぼ全域に、
高度処理水が供給されている。ただ、供給量は全体の約57%。
「水質が元々きれいで、高度処理しなくてもおいしい」(水道局)という多摩川水系の水と合わせ、
7年後には都内全域に「おいしい水」を行き渡らせる計画だ。
http://www.asahi.com/life/update/0526/008.html ・店の棚に並ぶ東京水。近くラベルを一新して、イメージアップを図るという=東京都庁内の
コンビニエンスストアで
http://www.asahi.com/life/update/0526/image/TKY200605260198.jpg ・東京の主な水道水源と浄水場
http://www.asahi.com/life/update/0526/image/TKY200605260199.jpg