生前の念願かない個展 (略)のSさん
◆手紙に遺言 「人に見せて」◆
昨年8月、悪性リンパ腫で28年の生涯を閉じた(略)のSSさんの遺作展が、桑名市(略)の
喫茶店兼ギャラリー「H」で開かれている。生前のSさんにとって、念願だった個展。
開催のきっかけは、Sさんが手紙で記した「人目に作品を触れさせてあげて下さい」との
遺言だった。(I)
Sさんは、幼いころからスケッチブックを手放さないほど、絵を描くのが大好きだった。
短大では造形美術を専攻し、将来は自分のアトリエを持って絵画教室を開くのが夢だった。
だが、昨年初めから微熱が続くようになり、病院で「悪性リンパ腫」と告げられた。
すぐに、名古屋市内の病院に入院し、抗がん剤による治療が始まった。6月に一時退院
したが、翌月に再発。精神的ショックと治療のつらさが重なり、情緒不安定になった。そんな
Sさんを救ったのは、母のEさん(53)の「自分の好きなことをすれば」という一言だった。
Sさんは入院する前、木やガラスなどにアクリル絵の具で描く「トールペイント」を得意と
していた。手は震え、視力を失いつつあったが、トールペイントから再び生きる力を得た。
木の板に顔を近づけて筆をふるう。熱中しすぎて、周囲が心配するほどだった。
(個人名等伏字・一部省略)
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http://mytown.asahi.com/mie/news.php?k_id=25000000601250005 朝日新聞社 2006/01/25