長野市南県町の県赤十字血液センターが、献血者に思いを書き留めてもらおうと
20年ほど前から待合室に置いている「楽書き帳」が20冊を超えた。
「人の役に立ちたい」「献血で全国行脚をしている」など、センターを訪れた人たちを
つなぐ冊子となっている。
「14年前に出血多量で輸血を受けた。やっと恩返しできた」(1987年5月)、
「がんで、おばが亡くなった。少しでも人の役に立てれば幸いです」(2005年9月)と、
それぞれの胸の内がつづられている。中には、「ついに800回となりました。(献血は)
最高最大のボランティア」(同)と書いた長野市内の男性もいる。
同センターによると、自由に書き込みができるノートを待合室に置いたのは1986(昭和61)年ごろ。成分献血の導入などに合わせて、利用者から意見や要望を寄せてもらう目的
だったという。「楽書き帳」「らくがき帳」などの題で、ほぼ1年に1冊のペースで更新してきた。
昨年10月に訪れた「シルバーダンディーズ」さんは、献血の年齢制限となる70歳を目前
にして、「献血ができないと思えば悲しくなる」と心境をつづった。
「献血歴18年」という福島県の「KEN−KEN」さんは34都道府県の計133カ所の血液
センターや献血ルームを回り、長野県内の長野、松本、諏訪の各センターでも献血。
「(県内を)完全制覇した」と記した。
このほか、「駅前に献血場所があれば行きやすい」「待合室の漫画を充実させてほしい」
といった要望もある。
同センター業務課の北村富課長は「献血者がどんな気持ちで献血しているか分かり、
感謝の気持ちでいっぱい。それぞれのエピソードに感動したり、反省もしています」と話す。
昨年度中に同センターで献血をした人は約1万8700人。2万人近かった02年度以降は
減少傾向が続いている。今年に入っても血液は不足しており、北村課長は「一人でも多く、
訪れてもらえるようにPRに力を入れたい」としている。
ソース
http://www.shinmai.co.jp/news/20060120/KT060120FSI090001000022.htm http://www.shinmai.co.jp/news-image/KT060120FSI0900010000221.jpg